「ハイテク禁止」じゃ育たない! レーシングドライバーが語る「電子制御アリ」のレースの必要性とは (1/2ページ)

緻密な電子制御によって一般道での安全性は大きく高まる

 自動運転化が盛んに議論されるようになった背景には、さまざまなセンシング機能の発達だけでなく、電動ステアリングやブレーキバイワイヤー、電制スロットルなどクルマを走らせる操作の電動化が進んでいることが大きい。

 元来、クルマの操縦はドライバーが2、3のペダルとステアリング、シフトレバーを操作することで行っていた。しかしオートマティックトランスミッションがシフト操作からドライバーを解放し、運転操作を大幅に簡素化した。

 次の進歩としてはトラクションコントロールやABS(アンチロックブレーキシステム)といった電子制御技術だ。駆動輪の滑りを感知できるホイールセンサーが進歩し、ドライバーが駆動輪のスリップを感知する前にスロットルを制御できる。またABSは4チャンネルが当たり前となり、ひとつのブレーキペダルで4輪のブレーキを個別に制御する技術にまで発展している。

 運転操作の難しい部分をコンピュータが制御してくれることで、ビギナーでも安心して運転できるクルマとすることができる。

 こうした機能は、その登場時にはレーシングカーにも搭載され、一気にタイムを短縮させて競争力を発揮した。しかし、あまりに効果的すぎて装着の有無が競争力に大きく影響したため、一律に規制されるようになってしまっている。

 たとえばABS。ハードブレーキングテクニックがタイム短縮に重要なサーキット走行では、ブレーキペダルを強く踏み過ぎホイールロックを引き起こしてしまうと、たった一回でもタイヤにフラットスポットを作ってしまいタイヤを駄目にしてしまう。

 ABSが装着されていればホイールロックを気にせず安心してハードブレーキングできるが、それでは高度なドライバーによる特殊なテクニックの必要がなくなる。したがってドライバーのドライビング技術を競うことが主となるフォーミュラカーなどでは世界最高峰のレースであるF1も含めABSは禁止。ジェントルマンレースのGT3など一部のクラスで使用が許されているくらいだ。

 トラクションコントロール(TC)も同様で、ドライバーが大パワーを操りダイナミックに走らせるのがテクニックの見せ所だったのが、一様にTCが作動すると見た目にも面白さ、迫力に欠ける。そこでTCもフォーミュラカーでは禁止になった。

 さらにクルマの速さに大きな影響を及ぼす空力パーツも規制対象になっている。現代のF1やF2、F3では定められたストレート区間だけドライバーが操作することでリヤウイングの抑え角を減少させ、走行抵抗を減らし直線スピードを稼ぎ前車をオーバーテイクするDRS(ドラッグリダクションシステム)の使用が許されていて全車が採用している。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
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マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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