エンジン搭載「位置」だけじゃなく「向き」も重要だった! 「横置き」「縦置き」で何が変わるのかレーシングドライバーが解説 (1/2ページ)

エンジン搭載「位置」だけじゃなく「向き」も重要だった! 「横置き」「縦置き」で何が変わるのかレーシングドライバーが解説

横置きFFは運動性能面でデメリットがある

 FFやFRなど、クルマのパワートレインに関するレイアウトはさまざまな要求性能に応じて決定されている。現在一般的なのはFFレイアウトだ。フロントにエンジンを搭載し、前輪を駆動する。Front Engine/Front Driveであることから略してFFと称される。

 しかし、FFにもエンジンの搭載向きに応じて縦置きと横置きのものがある。市販車のほとんどは横置きであるが、アウディやスバル車などエンジンを縦置きしながら前輪駆動を可能としていたものもある。

 一般的な横置きエンジンではエンジンの隣にトランスミッションを配置し、パワートレインの前後長を短くできることからスペースユーティリティに優れ、コンパクトカーなどへ多く採用された。また生産性の高さ、低コスト化、軽量化へも寄与し、メンテナンス性にも優れることから大型なモデルへも拡大採用されるようになっている。

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初代N-BOXのレイアウト画像はこちら

 エンジンを横置きするとエンジンの回転軸とドライブシャフトへのパワーアウトプットの向きが同じとなり、機械的損失が少ないので効率のよさも期待できるのだ。

 だが、問題点もある。まず重量物がフロントアクスルより前に集中するので、前後重量配分が悪化し運動性能に難が生じやすい。エンジンとトランスミッションが横並びで配置されるので横幅が大きくなり、エンジンルームの横スペースを大きく占める。そのため、とくに小型な車体ではホイールハウスのギリギリまでパワートレインが迫り、ホイールハウスのゆとりが小さくなることで前輪のハンドル切れ角を大きく取れず、回転半径を小さくできないのだ。

シビックタイプRのエンジンルーム画像はこちら

 またエンジンとトランスミッションでは重量が異なり、重心の位置も変化するため前輪左右の重量配分が悪化してしまう。さらにトランスミッションから駆動輪に伸びるドライブシャフトの長さが左右で異なるため、トルクステアが発生しやすい。

 ではエンジンとトランスミッションが縦置きならどうか。エンジン形式にもよるがエンジンを縦置きにすると横幅を小さくできる。さらにエンジンを車体中央に配置することができるので左右の重量バランスに優れることになる(スバルはこれをシンメトリーレイアウトと呼ぶ)。エンジンルームの横幅スペースに余裕を持てるのでホイールハウスを大きく取り、ハンドル切れ角も大きく設定でき小回り性を向上させることもできるのだ。ただし、スバルのように水平対向エンジンを搭載すると、横幅スペース縮小メリットを得ることはできない。

スバルのシンメトリーレイアウト画像はこちら

 縦置きではエンジンの後ろにトランスミッションを繋ぎ、そこから駆動を取り出すので車体センター部からのパワーアウトプットとなり前輪駆動でもトルクステアは発生しない。

 V6やV8といった大型のエンジンに対しても排気管の取り回し性が高く、かつてほとんどのクルマが縦置きレイアウトだったのも頷ける。ただ、その多くはFRレイアウト。トランスミッションから後輪へプロペラシャフトを伸ばし、そこでデファレンシャル内で回転方向を90度変換して後輪を駆動するので機械損失が大きかった。またプロペラシャフトやデファレンシャル、リヤアクスルなど部品点数が多く、重量もかさむ。それだけにコストもかかり高額になっていた。コンパクトカーなど大衆車クラスでは横置きFFが主流になるわけだ。

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