EVは自動車の先祖返りだった! ガソリンエンジン車よりもずっと前に開発されていた衝撃 (2/2ページ)

シリーズハイブリッドも開発されていた!

 ちなみに、フェルディナント・ポルシェ博士がはじめて自作の自動車を開発したのも、電気自動車だ。しかし、当時は鉛酸バッテリーしか存在せず走行距離を稼げなかったので、ポルシェ博士はそのあとすぐに発電用エンジンを搭載したモーター駆動のハイブリッド車(シリーズ式ハイブリッド)を製作したのである。エンジンを発電用に使うのであれば、急な加減速もあまり必要ではなく、低回転で発電し続ければ自動車は走り続けられる。

 また、米国のヘンリー・フォード(フォードの創業者)夫人のクララは、当時電気自動車の愛用者であり、そのクルマは90年代に入ってバッテリーを交換するだけで走ったと伝えられる。電気自動車は、静かで滑らかに走る上質なクルマとして愛好されていたのである。

 その後、エンジン車のほうが世界に広がった理由は、キャブレターが開発され、また着火のためのディストリビューターなど電気系も改善され、エンジンを自在に制御できるようになったからだ。また、それまで石油産業は明かり(ランプ)のための灯油販売で世界を制していたが、電灯の登場で灯油が売れなくなり、代わってガソリン販売に力を注いだのでエンジン車が広まった。

 一方、電気自動車は、鉛酸バッテリー以上のものがなかなか誕生せず、1990年代になってリチウムイオンバッテリーが実用され、ようやく本格普及の道が拓けたのである。いわば、クルマが原点に立ち戻ったといえなくもない。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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