標識や道交法で定められる車両の「徐行」ポイント! そもそも「徐行」は時速何km?

時速10km以下でブレーキを操作し1m以内で停止できることが目安

 街中でちょくちょく見かける『徐行』の標識。

 道路交通法では、この「徐行」の標識が設置されている場所のほかにも、

・左右の見通しがきかない交差点(交通整理が行われている、または優先道路を通行している場合は除く)

・道路の曲がり角付近

・上り坂の頂上付近

・こう配の急な下り坂

 を徐行すべき場所として定めている(第42条)。

 そこで気になるのは、『徐行』すべき場所では、どこまで速度を落として通過すればいいのか、というハナシ。

 道路交通法によると、徐行とは「車両等が直ちに停止することができるような速度」(第2条第20号)としか書かれていない……。

 筆者の娘が、ちょうど今、教習所に通っているので、教習所で配られた『運転免許 学科教本』を見せてもらうと、注として、「すぐ停止できるような速度=クルマの種類、積載量、道路の状況などによって多少の差はありますが、時速10km以下の速度でブレーキを操作してから、1m以内で停止できるような速度とされています」と説明があった。

 ドライ路面の摩擦係数を0.7とすると、時速10km時の制動距離は、0.56mなので、これはまあ妥当な線といえる。(制動距離=速度(km/時)の2乗÷(254×摩擦係数))

 でも実際は、反応時間が1秒だとしても空走距離=2.78mが加算され、停止距離は3.34mに……。

 ただ「時速10km以下、1m以内で停止できるような速度」というのは、目安であって、肝心なのは『とされています』という部分。

 上記の徐行すべき場所で徐行を怠ると、「徐行場所違反」(違反点数2点 反則金7000円:普通車)で取り締まりの対象になるが、こうしたものは『直ちに』『すぐに』『即座に』『少々時間を』といった具合に、幅を持たせた方が現実的で運用しやすいので、法令でも数値化していないと考えられる。

「誰がいつそんなこと言った? 何月何日何曜日何時何分何秒、地球が何回まわった時?」とほざく小学生のガキンチョではないので、大人は数字ではなく、「徐行=直ちに停止することができるような速度」を感覚的に身につけておくのが大事なはずだ(余談だが、日時を入力すると、地球が誕生してから何回まわったか表示してくれるアプリがある)。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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