「速度無制限」はホントに300km/hでもOK? 日本人が知らないドイツ・アウトバーンの真実 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■アウトバーンの速度無制限区間は全体のおよそ62%

■事故を起こした場合、必ず保険が支払われるとは限らない

■制限速度区間では制限速度+20km/hで走行するクルマが多い

直線で見通しが良いため速度を上げても不安を感じることはない

 世界で他に類を見ない「速度無制限の高速道路」であるドイツのアウトバーン。その起源は1913年にベルリン郊外に自動車の走行性能向上を目的に建設されたテストコース「AVUS(Automobil-Verkehrs-und-Übungs-Straße、通称アヴス)」と、なんと今から120年近くも昔にさかのぼる。アヴスは戦後にF1ドイツGPやDTMのコースとしても使用されていた。現在はアウトバーンの一部となっている。

 現在は総延長が約1万3000kmもある、通行料が無料(大型商用車は1995年に有料化)のアウトバーンは、全体のおよそ62%(約8000km)が速度無制限、約38%(約5000km)の区間は、立地(主に都市部)や工事などの理由で終日または時間帯により最高速度が130km/h以下に規制されている。ただし、車線規制が伴う工事区間でも速度規制は通常80〜100km/hと速い。無制限区間は、法的には音速で走ってもOKだが、推奨速度は130km/h。ちなみに80km/h以上で走行可能な車両であれば走行可能で、日本の高速道路のような排気量制限などはない。

 速度無制限区間では、誰もがブッ飛ばしているのかというと、そんなことはない。片側3車線の区間では、一番右側の走行車線は100km/h前後、中央車線は130km/h前後、一番左の車線は160km/h前後といったところ。交通量が少ない状況では、それぞれ20km/h増しという感じだ。

 とはいえ日本人の感覚では、相当速く思うかもしれない。だがアウトバーンを実際に走ってみると、スピード感はそれほど高くない。車線の幅員が通常3.75mと3.5mが基本の日本より広く、カーブはとても緩やか、交通量も日本の幹線高速道路のように多くはないので、実際にはとても走りやすい。さらに舗装も日本の高速道路より圧倒的に平滑なので、速度を上げても不安を感じることはない。

 ただし、雨天時や降雪時は、日本以上に注意が必要となる。もちろんそのようなシチュエーションでは速度規制がかかるが、やはり平均速度は高い。日本の高機能舗装のような排水性が高い路面もないので、ドライバーには路面状況とタイヤ&クルマの性能に応じた運転が求められる。


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