いま思えば「謎の流行」! ハイソカーブーム時代の機能性無視の「豪華絢爛リヤシート」たち (1/2ページ)

ハイソカーブームに欠かせないのがモケットシート!

日本がバブル景気に向かっている1980年代前半、自動車業界では「ハイソカー」トレンドがあった。けっして高級車というわけではない、5ナンバー(小型車)枠のモデルに豪華絢爛なインテリアや電装アイテムを備え、ツインカムやターボといった贅沢なメカニズムを採用したことが、ハイソカーの条件となっていた。

そんな昭和のハイソカー・ブームをけん引したのがトヨタのマークII、チェイサー、クレスタの3兄弟(X70系)だ。いずれも1984年(元号でいうと昭和59年だ)にデビューしたリヤ駆動の5ナンバー4ドアモデルで、マークIIとチェイサーに用意された4ドアハードトップも、またハイソカーをイメージさせたことは記憶に残る。

とはいえ、思い出してもハイソカーとして認める明確な条件があるわけではなく、ある意味でユーザーがハイソカーだと思えるムードを持っていることが大事だった。今にして思えばハイソカーと認められる条件のひとつに「豪華なリヤシート」も欠かせない要素だったかもしれない。

実際、マークIIのインテリアはワインレッドのモケット仕様で、なんとも非日常的だった。とくに後席はフカフカとしたクッション性がユーザーの心に刺さった。冷静に考えれば、乗員の姿勢としてはお尻が沈みこみ過ぎていて、腰が疲れやすくなってしまうほどだったが、それこそがラグジュアリーと感じられたものだ。ファミリーカーとは一線を画したシートこそが、昭和という時代が生んだハイソカーの象徴だったといえる。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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