トヨタvs日産の頂上決戦! クルマ好きが狂喜した280馬力に達するまでの80年代パワーウォーズ (2/2ページ)

280馬力達成でひとまずパワー戦争は終戦を迎えた

 シリンダーヘッドの4バルブ化は、日産も手をこまねいていたわけではない。スカイラインにもターボエンジン車を加えながら、1981年に4バルブDOHC直列4気筒エンジンのRSを用意し、立て続けにターボを装備、また1984年には4バルブDOHCターボエンジンの出力向上のためインタークーラーを装備する車種を登場させた。そして1989年に、いよいよ4バルブDOHC直列6気筒のツインターボを採用するスカイラインGT-Rが復活するのだ。当時はいわゆる280馬力規制が始まったばかりであり、R32型スカイラインGT-Rの最高出力は、規制内で最高となる280馬力だった。

 トヨタは、それまでセリカXX(ダブルエックス)と国内では呼んでいた2ドアハッチバックを、1987年から米国などと同様のスープラと車名変更し、高性能化をさらに進めた。そして1990年に、排気量2.5リッターの4バルブDOHC直列6気筒ターボエンジンによって280馬力を達成するのである。スープラの2.5GTターボと呼ばれるこの車種では、5速マニュアルシフトも設定された。

 排出ガス規制に苦しんだ1970年代の10年から、1980年代の10年間は最高出力280馬力を目指した高性能化の時代ということができる。そこには、バブル経済による社会的要素も後押しになったはずだ。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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