トヨタ史上最高のCMキャラクターは千葉真一! 「カリーナ」を庶民の頭にすり込んだ「千葉ちゃんの足のいいやつ」 (2/2ページ)

キムタクのカローラフィールダーよりもインパクトがあった

 1984年に登場した4代目からFFとなり、3代目、つまりFRとなる4ドアセダン、3ドアクーペ、サーフ(ステーションワゴン)、ライトバンがマイナーチェンジを行って併売されていた。

 以後7代目までFFとしてラインアップされて生産終了となるが、FFとなってからは5代目でステーションワゴンとライトバンがラインアップされた以外はセダンのみとなった。

※写真は7代目カリーナ

 FFとなった4代目からは、コロナとプラットフォームを共用したものの、エクステリアこそコロナとの差別化を強調したが、それ以外は コロナの兄弟車的存在(インパネなどもまったく同じではないがかなり似ている)となっていった。

 なお、FRのころに「セリカの4ドア版といえばいいじゃないか」という意見もあったが、1980年1月に初代カムリ(FFではなくFRだった)がデビューした時は、「セリカ4ドア」というキャッチを使っており、これは当時のカリーナをベースとしていたことによるものとなっている。

 千葉眞一氏は4代目までCMキャラクターを務めていた(5代目では、当時CM女王と呼ばれた松本孝美さんが起用され、CM内ではサーカスの曲を使っていた)。

※画像は5代目カリーナ

 とにかく、カリーナのCMでの千葉真一氏起用はインパクトが大きかったようで、「足のいいやつ」というキャッチだけでなく、「千葉ちゃんのカリーナ」として、消費者の間でかなり定着することとなった。

 カリーナは世代交代を進めでも、クーペやツインカムエンジンを搭載するスポーティグレードのラインアップは続けるものの、ファミリーセダン色を増していく。それでもスポーティモデルのラインアップを積極的に続けたことと、千葉氏の長いCMキャラクターとしての出演が続き、4ドアのみとなった4代目のカタログでも「新・FF足のいいやつ」と記されていた。

 じつはコロナは、「バリカン」と呼ばれた3代目で日本初の2ドアハードトップをラインアップし、最後はFFコロナクーペとして1989年までラインアップが続いた。ただ、「足のいいやつ」とはならなかったのは、やはり千葉真一氏の存在がなかったからかもしれない。

※写真は3代目カリーナ

 カリーナは、当時クラウンを専売していたトヨタ店の専売モデルとして最終モデルまでラインアップされた。筆者の叔父が、4代目カリーナを新車で購入した。叔父さんいわく「千葉ちゃんが足のいいやつと言っているし、クラウンを扱うトヨタ店で売っていて、クラウンと同じドアハンドル(確認したのだが叔父の思い込みみたいだった)なのが気に入って買った」と嬉しそうに話していたのをいまも覚えている。

 1500ccエンジン搭載車もあったのだが、カローラを扱うカローラ店のセールスマンはたびたびカリーナ(コロナも1500ccがあり状況は同じ)の1500ccモデルに注文を持っていかれることがあった。サニーやシビック、ファミリアなどがライバルではなく、バブル経済期あたりでは(カリーナやコロナのセダンがFFになってから)、カローラより格上となるものの、カリーナやコロナの1500ccエンジン搭載グレードが最大の宿敵になっていたのである。

 カリーナと千葉真一氏はクルマとCMキャラクターのイメージが見事に融合された、まさに好例ともいえ、それが長い間千葉眞一氏がカリーナのCMキャラクターを続けることにもなったのであろう。

 トヨタでは、「クラウン=山村 聰氏(3代目~6代目」、「クラウン=吉永小百合さん(4代目~6代目)、「カローラ=ジェリー藤尾氏ファミリー(2代目~4代目/その後タウンエースのCMもやっていた」と、トヨタは過去に世代交代しても同じ人がCMキャラクターを務めたケースがカリーナ以外にもあり、最近では「木村拓哉氏=カローラフィールダー(初代~3代目)もあった。カローラフィールダーは続けて木村拓哉氏がCMに出演していた効果で、「キムタクのクルマ」として過去のカローラを知らない若い世代が何の偏見を持たずにフィールダーを購入してくれていたと聞いたことがある。

※写真は2代目カローラフィールダー

 ただ個人的には「カリーナ=千葉真一=足のいいやつ」というインパクトを超えるものはないものと考えている。

 重ねて千葉真一氏のご冥福を願いたい。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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2019年式トヨタ・カローラ セダン S
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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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