クラクションは効果的だがハードルも
実際に子供にクラクションの鳴らし方を教え、試してみたママからは、「子供の力だとなかなか鳴らない」「ずっと鳴らし続けるのは大変そう」といった声もありました。しかも真夏の炎天下などでは、数分で車内は過酷な暑さになってしまいますから、意識が朦朧としたり、パニック状態になってしまう可能性もあります。そんな状態で、一度もやったことがないことをやれというのは無理な話。普段から練習して、「こうすれば鳴らせる」という実感を持っておくことが大切です。
さらに、ハザードランプを点灯するスイッチ、ルームランプを点灯する方法を教えておくと、より周囲に気づいてもらいやすくなると思います。
そして、本当は走行中の事故防止のために、むやみに教えたくはないのですが、「いざという時にだけやっていいことで、普段はやってはいけません」という意味がわかる年齢の子供には、ロックを解除してドアを開ける方法も教えておくといいと思います。
後席のドアはチャイルドロックを作動させている場合も多いと思いますので、前席のドアがいいですね。ただくれぐれも、ドアを開ける時と降りる時には前後から来るクルマなどに注意することも言い聞かせておきましょう。
最後に、クラクションを鳴らしても何をやっても助けが来てくれない時の備えとして、我が家では車載用の防災セットを車内に常備しています。温度変化に耐え、賞味期限が7年間の水や軽食、簡単に光るライト、笛、携帯トイレや保温ポンチョなどが、小さな箱にセットになっている、ホンダアクセスの「防災+安心セット」というものです。
もともとは、ゲリラ豪雨や雪などで立ち往生した際などのために常備しておくことにしたのですが、子供にも「いざとなったらこの中に水などが入っているからね」と教えてあります。炎天下の車内ではもし水があったとしてもどのぐらいの時間、命が持つのかは不明ですが、何もないよりは望みがつながるだろうという思いです。
悲惨な事故でこれ以上、尊い命を無くさないためにも、大人と子供で一緒に防止策を考え、シミュレーションや練習をしておきたいですね。また、街中を歩く際にも、周囲に助けを求めているクルマがないかどうかアンテナを貼って、みんなで子供たちを守っていきましょう。