「専用車」なのになぜ選ばれない? 「個タク」にJPNタクシーを見かけないワケ (1/2ページ)

この記事をまとめると

■いま日本に存在するタクシー専用車はトヨタJPNタクシーのみ

■しかしJPNタクシーの個人タクシーはあまり見かけない

■個人タクシーにJPNタクシーが選ばれない事情を解説する

さまざまな面でクラウンは安心感が高い

 現在日本国内において、日系ブランドでのタクシー専用車というのは、トヨタJPNタクシーのみとなっている。トヨタでは長らくクラウンセダンベースのタクシー車両があり、マークII(6代目X80型まで)やコロナ(FRのころ)などをベースとした車両が小型タクシーとして用意されていた。その後クラウン コンフォート系(コンフォート、クラウンコンフォートベースのクラウンセダン含む)となり、JPNタクシーに引き継がれている。

 日産では古くはグロリアベースもあったが、その後セドリック(7代目/Y31型)ベースの車両が2014年まで生産が続けられた。また、1993年から2009年までは小型タクシー車両としてクルーがラインアップされていた。また、小型商用車(ライトバン)NV200バネットベースの“NV200タクシー”を2015年からラインアップしていたが、2021年に生産終了となっている。

 歴史を遡れば、三菱ギャランやマツダ・ルーチェ、同カペラ、同カスタムキャブなどなど、多くの日系メーカーでタクシー車両をラインアップしていた。しかし、いわゆる専用車やタクシー向けとして用意された車両はおもにタクシー事業者が使うケースが多い。

 一方の個人タクシーでは、タクシー車両の規制が緩和され、何でもタクシーとして使えるようになる前は、クラウンならロイヤルサルーン系など、一般ユーザー向け車両の売れ筋モデルが使われることが多かった。セドリックでも傾向は同じであった。これは、後部、つまり客席のドアの開口面積など、細かく規制されたタクシー車両の要件をクラウンやセドリックは一般ユーザー向けとはいえ、タクシー需要があることを念頭に開発されており、問題なく使えるということがあった。

 そのため、初期のクラウンコンフォートでは走行50万kmぐらいまでは、致命的な故障などが発生しないように設計されているのに対し、一般ユーザー向けのクラウンのロイヤルサルーンあたりでも30万kmまでは目立った負担もなく使えるように設計されていたと聞いたことがある。いまでもクラウンが個人タクシーとして多く使われているのは、ドアパネルをはじめリビルドパーツが豊富にあったり、いまはトヨタ系ディーラーならクラウンはどこでも買えるが、専売時代からクラウンを扱っているトヨタ店や、一部都市部のトヨペット店などでは、タクシーとして使われることをよく知っているので、個人タクシー運転士の安心感もあるようだ。

 最近ではレクサスやアルファード、プリウスなどなど、個人タクシーは多彩になったとはいわれるが、やはりトヨタ車が多くなっているように筆者は感じている。もちろん使われ方で違いは出てくるが、クラウンコンフォートに比べるとY31セドリックタクシーは耐久性に問題があった。走行距離が15万kmほどになると、ATが滑り出したり、計器盤や空調操作部などを照らす照明で使っている電球が切れだしたりするという話を聞いたことがある。またシートも20万kmを超えれば座面のクッションがペッタンコになってしまったりするので、自分用のクッションや座布団などを持ち込まないと、 1回の隔日勤務(20時間ほど)の出番で仕事を終え車庫に戻ってきても、しばらく歩けないこともあったという話も聞いたことがある。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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