「専用車」なのになぜ選ばれない? 「個タク」にJPNタクシーを見かけないワケ (2/2ページ)

個タクは長距離での利用が多いのも理由のひとつ

 個人タクシー運転士は、法人タクシー会社での乗務経験があり、専用車の過酷な状況をよく知っているので、個人タクシーとして使う車両はクラウンやセドリックであっても、上級グレードの車両なら使うと言った傾向が圧倒的といっていいだろう。

 以上のことからも、専用車両となるJPNタクシーは、個人タクシー車両としては、ほとんど選ばれることがないようだ(筆者はそれでも何回か見かけたことはある)。

 さらにJPNタクシーに個人タクシー運転士が興味を示さないのは、いまはコロナ禍でなかなか期待できないが、個人タクシー運転士は深夜の酔客や残業帰りのサラリーマンを当て込んだ、ロング客(長距離利用客)をメインとしているため、排気量に余裕があり、長距離走行でも疲れにくい車種を選ぶといった傾向もあるようだ。

 メルセデスベンツなどの海外ブランド車については、高速道路の走行などでは抜群の性能を示すのだが、都内など市街地道路を流したりする時は、印象がいまひとつとの話も聞いたことがある。あくまで一般ユーザー向け車両をタクシーとして使っているので、装着タイヤなどによるものがあるようだ。これがドイツなどで販売されている、メルセデスベンツEクラスをベースとしたタクシー専用車などとなれば、印象がかなり違ってくるかもしれない。

  

 また、JPNタクシーの上級グレード“匠”で356.4万円という価格も大きいようだ、たとえば最近法人タクシー車両でも目立っている、トヨタ・カムリのエントリーモデルとなるXの価格は348.5万円、ひとつ上のGでも379.4万円となっている。アルファードの売れ筋グレードのひとつ、特別仕様車のS“TYPE GOLD II”でも424万円となっている。つまり、1.5リッターエンジンベースのLPガスハイブリッドとなるJPNタクシーと比較すると、割安感が目立ちながら見栄えの良い車両が多いのである。前述したアルファードでは70万円引きも珍しくないとのことなので、さらに割安イメージが強くなるのである。

 個人タクシーには、“馴染み客”というものがついていることが多い。コロナ禍前ならば、仕事の関係で帰宅が深夜になることが多い人や、頻繁に飲み歩く人などである。お互いに携帯電話の番号を交換して、「午前2時に六本木交差点に迎えに来て」などと、お客が呼ぶのである。取りこぼしのないように、チームを組んで顔なじみの運転士が迎えに行けない時は、仲間が迎えに行くことにしていたりもする。頻繁に個人タクシーに乗る“上客(太客)”は、法人タクシーより豪華な車両を使う個人タクシーだからこそ利用するといったひとも多い。

 そのためチームを組む時も、レクサスLSなど同じ車両で組むこともあるようだ(その意味でも、クラウンがタクシー車両として選ばれやすいのである)。ミニバンといっても、アルファードクラスなら問題はないだろうが、JPNタクシーではそのスタイルもあり(基本セダン系が好まれる)、そのような“おいしい仕事”には、なかなかありつけないようでもあるのだ。

 クラウンは500万円を軽く超えるし、レクサスESも600万円近くなっているが、個人タクシー車両として見かけることも多い。しかし、一見すると、そこまで豪華な車両にしなくてもいいじゃないかという話もあるが、このような車両をタクシーとして使っている運転士も目立つ。高級車をタクシー車両として使うのも、個人タクシーの“ウリ”のひとつなのである。

 何度も繰り返すが、いまはコロナ禍で厳しい状況が続いているが、タクシー車両を豪華にすれば、それなりのリターンは期待できるのが個人タクシーの世界。1.5リッターベースのハイブリッドで、しかも組み合わされるトランスミッションがCVTでは、エンジンが元気に回るシチュエーションも多いだろうし、CVTのラバーバンドフィールの耳障りな音もクレームになりかねない(個人タクシーを頻繁に利用する乗客のなかにはCVT車に縁遠い所得の高いひとも多い)のである。

 つまり、CS(顧客満足度)という視点でも、固定客の多い個人タクシーではJPNタクシーではなかなか厳しいと判断されがちなのである。

 しかしコロナ禍の現状では、個人タクシーとはいえ朝早くからターミナル駅のタクシー乗り場で着け待ちしているので、「宝の持ち腐れ」にも見えてしまうのが残念なところ。早く、夜中の高速道路を郊外の住宅地域へ向けて爆走する数多くの、個人タクシー(もちろん法人タクシーも)の姿が戻ってくるようになってもらいたいものである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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