アメリカの「ドラマ」に登場するクルマは「車種」に重要な意味あり! 適当に「翻訳」する「日本語字幕」は問題 (2/2ページ)

スバルの登場などはアメリカでのいまの勢いを感じさせる

 テレビや映画に限らず、過去には著名な大学教授など、富裕層でインテリジェンスの高い職業に就くひとといった設定では、たいてい新車のボルボワゴンが定番であった(公立の小、中、高校などの学校の先生は給料が安いので中古のボルボといったことも多かった)。しかし、それがいまかなりの頻度でボルボに代わって、スバル アウトバックの時が多い。いまのアメリカでスバル車の評価の高さを感じた。

 アメリカでは映画やテレビドラマのなかでは“意味のある”小道具としてクルマが登場してくることが多い。また、基本的には登場してくる車両において、日本車やドイツ車、韓国車などがメインとして登場してくることはほとんどなく、主役もしくは主役級が乗るクルマはアメリカンブランド車が圧倒的に多い。ここだけは都合よく“フィクションだから”と、リアリティの追求は置いといて、アメリカンブランドの最新型車が登場するドラマも目立つ。それでも最近は、劇中で日本車や韓国車がよく出てくるようになってきている。少なくとも風景の一部として登場していないと、アメリカで販売台数が多いことは否定できないので、逆に違和感のある映像になってしまうのかもしれない。

 前述した“シカゴPD”では、特捜班が使う捜査車両は(つまり劇中で頻繁に登場するクルマ)、ダッジ デュランゴ、ラム ピックアップトラック、ダッジ チャージャー、ジープ グランドチェロキー、つまりステランティス傘下のFCA(フィアット クライスラー オートモビルズ)のなかの、クライスラー系アメリカンブランドでそろえられている。いずれもSRT系などハイパフォーマンス系で、当然ながらV8エンジン(もちろんOHV)を搭載しているので、カーアクションでも迫力が違うのは間違いない(FCAが車両協力しているかは未確認)。

 一般的なパトカーはリアリティを出すためなのか、フォードの車両(エクスプローラーやフュージョンベース、あるいはクラウンビクトリア)となっている。

 また、ここ最近日本で放映される、アメリカの“クライムアクション”などとカテゴライズされる、アクション系テレビシリーズでは、麻薬ディーラーなどの犯罪組織が、レンジローバーも含むランドローバー系SUVやジャガー、アストンマーティンなど、イギリスの高級ブランド車に乗っていることが多い。地域(アメリカの)にもよるのかもしれないが、アメリカの犯罪組織ではイギリスの高級ブランド車に乗るのが流行っているのかもしれない。

 同じ女性キャストでも、CSIでは科学捜査班となり、科学者でもあるので、プライベートカーはプリウスとなっていたが、シカゴPDでは現場の刑事ということもあるのか、先代カローラとなっていた。カローラは日本でのヤリス的存在となるので、年齢を問わず女性が運転していることが多い。

 とにかく「なるほど」と思うほど、登場するクルマがストーリーを盛り上げる小道具として使われていることが多いのがアメリカのドラマなのである。日本はまだそのレベルまではいっていない。というよりかは、あえてそこまでストーリーにクルマを絡ませることを意図的に避けているように見える(大人の都合?)。日本では身の丈に合ったクルマ以外でも、購入資金があればたいていのクルマは誰でも買えるので、アメリカほど意味をなさないのも確かである。

 とりあえず、吹替でも字幕でも、アメリカのドラマのセリフで車名が出てくるのは、ストーリー上意味のあることなので、できるだけ原文に忠実に翻訳して欲しいと願っている。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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