「懐かしさ」や「先祖の力」狙いじゃない! 「復活車名」は「商標登録」で使いやすいからだった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■日本だけでなく世界的にかつての名車の車名が復活している

■オリジナルを知る年齢層には郷愁を呼び、知らない層には新鮮さを感じさせる

■登録商標の問題があり、自社が商標登録しているモデルの車名は使いやすい

懐かしの車名が世界的に続々と復活している

 三菱自動車(以下三菱)は2021年4月19日、「第19回上海モーターショー(第十九届 上海国際汽車工業展覧会)」会場において、BEV(バッテリー電気自動車)となる新型SUV「エアトレック」のデザインを公開した。クルマ好きならすぐにピンときたはず。エアトレックという車名は以前三菱がラインアップしていたクロスオーバーSUVの車名であり、16年ぶりにBEVとなって車名復活を果たしたのである。

 中国ではすでに、トヨタの現地合弁会社のひとつとなる「広汽豊田(広州トヨタ)」で生産されるカローラの兄弟車としてラインアップされているモデルの車名に「レビン(雷凌)」、ホンダの現地合弁会社のひとつ「東風本田(東風ホンダ)」で生産されているフィットの兄弟車「ホンダ ライフ(本田LIFE)」など、日本人から見れば“車名復活モデル”が存在している。

 ちなみに、アメリカでは2021年モデルのカローラ セダンに特別仕様車として、「アペックスエディション」が設定されている。また、南アフリカではスズキ バレーノのOEMモデルが「トヨタ スターレット」と名乗っている。

 アメリカのカローラでの「アペックスエディション」は、かつての「レビン GTアペックス」をオマージュしての使用にも見えるが、少し調べただけでも、エアトレックのほかに、中国でのレビンやライフ、南アフリカでのスターレットなど、世界で車名が復活している。そして、これは何も日系メーカーだけの話ではない。

 アメリカンブランドでは車名復活はよくあること。最近デビューしたフォード ブロンコは車名だけでなく、そのスタイルやキャラクターまでも過去のモデルをオマージュしたものとなっているし、ステランティス傘下でFCA(フィアット クライスラー オートモビルズ)のジープブランドでは、「ジープ ワゴニア」が過去モデルと同じ大型高級SUVとして車名復活している。

 これらの車名復活は、歴代モデルをリアルで知っている年齢層には、「懐かしい」などの郷愁を呼び、歴代モデルを知らない層にはその歴代モデルをオマージュしたスタイルやコンセプトに新鮮さを感じさせることで、販売促進を図ろうとする狙いも見える。

 しかし、アメリカンブランドでは、このような同カテゴリー車で車名復活するだけでなく、ダッジブランドでは2012年にコンパクトFFセダンに往年の名車「ダート」の車名を与え、「ビミョーだ」などの物議をかもしたこともある(ダッジだけでなく、GM[ゼネラルモーターズ]やフォードでもこの傾向はある)。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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2019年式トヨタ・カローラ セダン S
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乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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