【試乗】プロを満足させられる使い勝手と性能あり! 新型キャラバンに乗ったら商用バンとは思えないほど快適だった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■日産の商用バンのキャラバンがマイナーチェンジを受けた

■グリルとバンパーのデザインが変わって力強さと大人っぽさを手に入れた

■7速ATの採用で燃費を改善し、新採用のシートが乗り心地を向上させた

「NV350」がとれて「キャラバン」となり親しみやすくなった

 昔はキャラバンが一番人気だったよな……と懐かしく思い出したりするのは、鎧甲のようなボディパーツをまとったいかついヤツが主流になる遙か以前、サーファー達を中心にアメリカ西海岸風のカスタマイズを楽しみながら普段使いする初期の”バニング”カルチャーが上陸した1970年代後半を知ってるオッサン世代だ。

 僕が中学生だったあの時代、近所の兄ちゃんが仕事で使ってるキャラバンの荷室に週末だけ厚手のカーペットを綺麗に敷いて、近年でいうところの車中泊を楽しんでたことが忘れられない。「トヨタのヤツよりカッコイイだろ?」と、それはもう自慢げだったのだ。車中泊してるのは自分の家の駐車場だったというのに。

 時を隔てて現在。キャブオーバー型の商用バンの一番人気は、その“トヨタのヤツ”。いつの間にか形勢逆転していて、これまでのNV350キャラバンは販売台数でもハイエースに水を開けられている。それを食い止めるべく、NV350キャラバンのガソリンモデルにマイナーチェンジが行われた。“キャラバン”という昔ながらのシンプルな呼び名に戻しての登場である。

 今回のマイチェンのポイントは、わかりやすいところから述べるなら、まずはフェイスリフト。グリルとバンパーのデザインが変わって、力強さと同時に大人っぽさを手に入れたように感じられる。

 インテリアにも手が入っている。黒を基調としながら全体的な質感を大幅に高めていて、乗用車っぽい落ち着いた雰囲気になった。商用バンとしてはベージュやグレーよりも砂埃などが目立ちやすいというデメリットはあるが、それよりも視覚から来る乗員の快適さを重視した結果だろう。

 新たに採用されたDの字型のステアリングも、乗り降りがしやすくていい。乗用車系には以前から採用されている、スパイナルサポート機能付きシートという、背骨や筋肉に負担をかけない姿勢が得られて重心も分散させる形状の、疲れにくいシートが備わったのもトピックだろう。

 先進安全装備も充実した。フロントカメラとミリ波レーダーを併用するインテリジェントエマージェンシーブレーキ、踏み間違い衝突防止アシスト、車線逸脱警報、標識検知機能、インテリジェント式ふらつき警報、ハイビームアシストが、全車に標準装備となり、サポカーSワイドの対象となった。

 プロフェッショナルが毎日の仕事で使うクルマであり、一般の人が車中泊込みのロングドライブなどに使うクルマでもあるのだから、追従型のアダプティブクルーズコントロールが欲しいところなのだが、残念ながら今回は装備されていない。

 パワートレイン系では、2リッターのガソリンエンジンの130馬力/178Nmというパワー/トルクは変わらないものの、JC08モードでの燃費0.5km/L伸びて10.5km/Lとなり、トランスミッションが従来の5速から7速へと多段化され、シーケンシャル操作での変則も可能になった。


嶋田智之 SHIMADA TOMOYUKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
2001年式アルファロメオ166/1970年式フィアット500L
趣味
クルマで走ること、本を読むこと
好きな有名人
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