クルマも若者評も「日本車の下」ではない! 韓国車の日本再上陸という脅威 (2/2ページ)

アグレッシブでスタイリッシュないまの韓国車

 ある事情通は「韓国側も一度撤退しているので、今度は失敗が許されないという慎重な姿勢も目立ちます」と語る。しかし、「知人に個人輸入された韓国車に乗っている人がいます。あるとき高速道路のサービスエリアに停めてトイレに行き、クルマへ戻ろうとすると、自分のクルマのまわりに若者(日本人)が集まりスマホで撮影していたとのことです。そこで若者たちに理由を聞くと、『韓国ドラマのなかでよく街を走っているクルマですよね』としてSNSにアップさせてほしいのだと理由を話してくれたそうです。いまの若い世代は韓流ドラマだけではなく、食べ物や音楽など、オジさん世代とは異なり、なんの抵抗もなく韓国文化を受け入れて楽しんでいます。そのため、よく視聴する韓流ドラマに出てくる韓国車のほうが、日本車より格好良く見え、さらに親しみを感じているようなのです」と話してくれた。

 それならば、思い切って、若者が好みそうなカジュアルなコンパクトSUVやハッチバック車を輸入しても期待できるのではないかとも思えるが、「まだそこまで踏み切るのは時時期尚早かもしれない」とは前出事情通。

 韓国車の過去の日本参入は、「冬のソナタ」が全国的に人気となり火がついた第一次韓流ブーム(2003年から2004年とされている)のさなかであったが、少しブームが落ち着いた時期に首都圏のヒュンダイディーラーへ行くと、「いまでもヨン様ファンの方が、何かグッズがないかといらっしゃることがあります。ただ、肝心ともいえるソナタの国内発売は2005年で、しかもドラマに出ていたモデルの次のモデルでしたのでブームには乗れませんでした。なんかもったいないことしたなと思いましたよ」と悔しがっていた。

 韓流ドラマはいまでも劇中でクルマの絡むシーンが多く、明らかに自動車メーカーとタイアップしているように見えるケースが目立つ。多くはドイツ車などの輸入車となっているのだが、その周辺には韓国車がタクシーやパトカーなどとしても風景として多数映りこんでいる。これは、アメリカで「日本のアニメに出ているようなクルマ」として、当時アメリカではあまり売れないトランクのない(ハッチバック系)初代bBが沿岸部を中心にバカ売れし、また日本のアニメでよく出てくる食べ物が世界各地でブレイクするような消費行動によく似ているものと考えられる。

 あくまで主観となってしまうが、確かにヒュンダイや起亜はかなりアグレッシブなデザインで、「格好いいなあ」という印象を受ける。ソウル市内を走る現行モデルのヒュンダイ・ソナタのタクシーやパトカーを見ると、ソウルが東京より洗練されているような印象も受ける。

 かつて北米市場あたりでは「安売りブランド」ともいわれていた起亜も、モデル全体でイメージアップを行い、いまではFRのスティンガーというモデルをラインアップし、ブランドステイタスを一気にあげている。

 また、ヒュンダイは北米や中国において、トヨタにおけるレクサスのような上級ブランドとなるジェネシスを展開し、北米ではじわじわとブランドステイタスをあげている。

 クルマに興味がないとされる若者が、サービスエリアに停まっている韓国車に集まるその風景を想像すると、かつて韓国車が参入したころの日本とは市場環境の変化というものを感じてしまい、ここへきて日本市場再参入という話が出るのも理解できてしまう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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