【試乗】見て触って乗っての結論……これでいいじゃん! ヒョンデKONAは穿った目で見ても粗らしい粗が見つからないクルマだった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■韓国のヒョンデからBEVの「KONA」が販売されている

■海外ではICE仕様も存在するが、日本ではBEVのみとなっている

■Cセグメント相当のサイズで、ハンドリングやレスポンスも高い次元で両立されている

お手頃な電気自動車が韓国からやってきた

 年に何度か「これでいいじゃん!」と思えるニューモデルに出会うことがある。それは「この程度でいいだろ」だとか「まぁこんなもんだろ」みたいな気持ちじゃなくて、ニュアンスとしては「これだけ出来映えがいいんだからさすがに文句なしだろ」のような肯定的なものだ。これで不満を感じる人っているのかな? みたいな気分。

 と冒頭を書きはじめて、「あれ?」と思った。いつだったか、ほとんど同じような感じで試乗記をスタートしたことがあったぞ、と。気になったからちょっと過去のファイルを調べてみたら、去年このWEB CARTOPに掲載していただいたメルセデス・ベンツGLCのリポートがそれだった。めちゃめちゃ説得力の高いクルマだった記憶まで蘇ってくる。

 もちろん値段もクラスも違うから「これでいいじゃん!」に至るまでの気持ちのプロセスも少し違ったのだけど、ともあれ、このクルマはそれだけの説得力を持っていた。探そうとしても不満らしい不満は見つけられなかったし、各部の“いいねぇ”が結構高い水準でバランスしてたし、コスパも相当にいい。

 そのクルマは何か。昨年の秋に日本に上陸したヒョンデのコンパクトSUV、「KONA(以下:コナ)」である。2022年にあらためて日本市場へとやってきたヒョンデが放つ第3弾、だ。第1弾のアイオニック5は予想をはるかに超越した出来映えの素晴らしさで思い切り仰天させてくれたものだけど、同じく予想を超えて大きかった。コナはどうかといえば、全長4355mm、全幅1825mm、全高1590mm、そしてホイールベースは2660mm。アイオニック5よりひとまわり小さく、やや小振りなCセグメントの国際標準サイズといったところだろう。もちろん日本国内でも転がしやすい大きさだ。

 スタイリングは、おそらく好みのわかれるところかもしれない。シルエットそのものはいかにも今風SUVといったところだが、ボディサイドに斜めに走るキャラクターラインやグッと盛り上がったように見えるリヤフェンダー、フロントとリヤを左右の幅いっぱいに貫くシームレスホライゾンランプと呼ばれる水平の灯火類などによって、あまり見たことのない雰囲気のちょっと未来的な個性ができあがってる。

 パッと貌を見て“ロボコップ?”なんて思っちゃったあたり、われながら年齢を感じたりするところはあるけど、それでも個人的には悪くないなと感じてる。

 一方でインテリアには奇をてらったところはなく、12.3インチのスクリーンがふたつ並べられた水平基調のダッシュパネルまわりは、見るからに機能的。オーディオや空調などの操作することが多い機能に関してはしっかり物理スイッチが割りふられてるあたり、ドライバーにとっての扱いやすさとはどういうことなのか、極めてマジメに考えられている印象がある。

 ただし、デジタルの得意分野もしっかり活かされていて、たとえばウインカーを操作すると──これはアイオニック5でちょっとばかり感動した機能でもあったのだけど──メーターパネルに進行方向側の後方の様子が丸く映し出されて周囲の状況をチェックできる。必要な装備や欲しい機能が欠けることなく標準で備わってることも含め、なかなか満足感は高い。


嶋田智之 SHIMADA TOMOYUKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
2001年式アルファロメオ166/1970年式フィアット500L
趣味
クルマで走ること、本を読むこと
好きな有名人
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