消えちゃいけないオデッセイが5代目にして消滅! ミニバン市場をけん引した偉大なる1台の歴史とは (2/2ページ)

5代目でオデッセイ終了。買うなら今が最後のチャンスだ!

 2008年に登場した4代目オデッセイもまた、3代目同様の低全高パッケージを引き継いだ新型だった。内外装の質感は劇的に向上し、車両の安定性を高めるモーションアダプティブEPSやマルチビューカメラなどを新搭載。エコモードボタンとなるECONボタンがオデッセイに採用されたのもこの4代目からである。

 低全高ゆえ室内高は先代同様の1200mmながら、室内長の拡大によって3列目席足もと空間の余裕が増し、低全高ミニバンでありながら、さらなる走りの良さとミニバンらしい居住性を両立。ちょっと残念だったのは、アブソルートの2.4リッターエンジン+5速ATのパワーを高めるため、アブソルートのみハイオクガソリン指定になったこと。

 とはいえ、この頃にはボックス型×両側スライドドアミニバンの台頭で、オデッセイのような低全高×リヤヒンジ式ドアのミニバンの人気は一気に下降。販売台数的には3代目の3分の1にも満たない7万台ちょっととなり、次なる一手が不可欠となった。

 そして2013年、いよいよ本年12月にホンダの狭山工場の閉鎖とともに生産を終え、いったん、オデッセイの歴史が終焉することになる5代目の現行型に引き継がれることになる。最大のトピックはオデッセイ初の両側スライドドアを採用したこと。ボディサイズは全長4855×全幅1800-1820×全高1695-1925mmと、やっとミニバンらしい全高を手に入れたことになり、室内高も1300mmを確保。国内ではホンダの最上級ミニバンとして君臨する……はずだった。

 2代目までのオデッセイを知るファンにとっては、ミニバンらしい全高を持った両側スライドドアモデルとして一定の評価を得たものの、現存率がもっとも高いという3代目のスポーツオデッセイファンにとっては、高全高とスライドドアが”オデッセイらしくなく”許せないという声もあったはずである。

 しかも、人気の中心となるはずのアブソルートの初期型は、レギュラーガソリン化されたとはいえ、あまりにも走りを追求しすぎて、とくに後席の乗り心地が硬すぎ、ファミリーユースには厳しい、硬派すぎるミニバンだったことから、販売は低迷。後期型は乗り心地が改善されたものの、ステップワゴンやフリード人気に株を奪われ、最終的にはアブソルートのみのグレード展開に絞られ(だから価格も高騰)、2021年12月、1994年から続いた、ホンダ・オデッセイの長い長い、27年に渡る冒険旅行が終わりを告げることになる。

 が、5代目は内外装の高級感はもとより(特に後期型)、G-design Shift、ZFザックス製振幅感応型ダンパー、液封コンプライアンスブッシュといった走りにかかわる贅沢なアイテムがふんだんに採用され、先進運転支援機能=ホンダセンシングも充実。3列目席を床下にフラットに格納すれば、例によって大容量ワゴンとして使えるなど、走って、使ってみればわかるホンダらしいミニバンに仕上がっているのである。もし、今、ギリギリのタイミングで買えるとすれば、最終型の熟成されたホンダ渾身の上級ミニバンが手に入ることになる。

 とはいえこの先、日本国内でオデッセイが再登場する可能性はないとは言えない。ホンダの今では懐かしい響きのクリエイティブムーバーの火を消さないためにも、あるいは国産ミニバンのビッグネームの伝統を守るためにも、ぜひとも我々を驚かせるような姿で復活してほしいと願う。もちろん、打倒アルファード、これから未来につなぐ電動オデッセイということで!!


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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