「速さ」だけじゃなくて「燃費」でも「MT車」が劣る時代に! 恐るべき「オートマ」の進化とは (1/2ページ)

この記事をまとめると

■登場した当初のトルコン式ATはMTに比べて伝達ロスが大きく燃費も劣っていた

■エンジンとミッションを直に繋ぐロックアップ機構の開発でトルコン式ATの燃費が改善

■トルコン式ATは、技術の進化がそれまでの常識を覆した一例となっている

「ATはMTよりも燃費が悪い」が常識だった

 現代のドライバーはそれほど気にしていないのかもしれないが、ひと昔前、MT(マニュアル・トランスミッション)とAT(オートマチック・トランスミッション)では、いろいろな部分、領域で違いが見られていた。歴史をたどれば、手動操作でギヤを切り替えるMTが原点で、時代の流れのなかで技術が進歩し、その結果、変速作用を機械が自動的に行うATが考え出されたことはよく知られるとおりだ。

 クラッチペダルを踏まず、シフトレバーを操作する必要もないATは、自動車の運転操作を簡略化し、ラクに運転が行えるメカニズムとして一大革命だったが、実用化当初のメカニズムは、MTと較べて動力伝達上の損失が大きかった。ATのメカニズムは、今も昔もその主流は変わらず、封入したオイルによって動力を伝達するトルクコンバーター+機械式変速機の方式で、クラッチの役割を果たす部分がオイル(液体)であるため流体継手とも呼ばれている。ただし、トルクコンバーターは、入力側と出力側の回転差を利用してトルクを増幅する働きがあるため、単純な流体継手とは異なっている。

 さて、このトルクコンバーターを使ったAT機構だが、エンジン出力をトルクコンバーターのオイルによって伝えているため、入力側より出力側が数パーセント前後低い回転数となってしまう。つまり、伝達ロスが発生するわけで、このロスの分が、機械的に1対1でエンジン出力を伝達しているMT方式より燃費を悪くしていた。


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