「ボクサーエンジン」と「180度V型エンジン」は別もの! 水平対向エンジンの識別は「クランクシャフト」にあった (1/2ページ)

「ボクサーエンジン」と「180度V型エンジン」は別もの! 水平対向エンジンの識別は「クランクシャフト」にあった

この記事をまとめると

■スバルなどの水平対向エンジンはピストンの動きから「ボクサーエンジン」と呼ばれる

■一方で同じようなシリンダー配置の180度V型エンジンも存在

■両者の違いはクランクシャフトにある

「ボクサー」の通称はピストンの動きから

 クルマ好きにとって「ボクサーエンジン」には特別な響きがある。スバルにとって最初の登録車からつづく伝統でありコアテクノロジー。また、ポルシェ911も歴代モデルがボクサーエンジンを積んでいることをアイデンティティとしている。

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歴代ポルシェ911のイメージ画像はこちら

 そんなボクサーエンジンの定義とは、どんなものであろうか。

「水平対向エンジン」とも呼ばれることからわかるように、当然ながらシリンダーは水平(180度)にレイアウトされていることが大前提だ。そして、ボクサーエンジンの語源は、「ピストンがパンチを打ち合うような動きをしている」という点にある。

スバルの水平対向エンジンの内部構造画像はこちら

 すなわち、向かい合ったシリンダー同士で見ると、片方が下死点(ヘッドからもっとも離れた位置)にあるときは、もう一方も下死点にいることになる。逆に、一方が上死点(燃焼室側)にあるときは向かい合う反対側のピストンも上死点にある。エンジン透視図でみると、向かい合ったピストンがともに下死点にあるとき、まさにクロスカウンターのように見える。これこそが水平対向エンジンが“ボクサー”と呼ばれる所以だ。

スバルの水平対向エンジンのピストンとクランクシャフト画像はこちら

 じつはシリンダーが水平に並んでいるからといって、どのエンジンもボクサー的な動きをするとは限らない。向かい合ったピストンの動き方とシリンダーレイアウトはまったく別の話になる。もちろん、シリンダーが水平に並んでピストンが動けば、各バンクがパンチのようにピストンを往復させているわけだから、それをもってボクサーエンジンと呼んでいいという見方もある。

 その代表例といえるのが、1970年代のスーパーカーブームの主役ともいえる「フェラーリ512BB」だ。512という数字は5リッター12気筒であり、BBというアルファベットが示すのはベルリネッタ・ボクサーのこと。すなわちクーペボディでボクサーエンジンという意味だ。

フェラーリ512BBのフロントスタイリング画像はこちら

 しかし、512BBの12気筒エンジンがボクサーエンジンかというと異論もあるだろう。なぜなら、前述したように向かい合ったピストンが左右対称的の動きをするかといえば、そうではないからだ。

 このエンジンでは、向かい合ったピストンはそれぞれ同じ方向に動く。つまり、片側が上死点にあるとき、反対側は下死点にあるということになる。ボクサーエンジンと違い、ピストン同士がクロスカウンターのようにぶつかり合いそうな動きはしないのだ。そのため、こうしたエンジンについては、ボクサーエンジンではなく、バンク角180度のV型エンジンと呼んで区別することもある。

フェラーリ512BBのエンジン画像はこちら

 それでも広義の分類において、ボクサーエンジンも180度V型エンジンも、いずれも水平対向エンジンとして表記されることもあり、シリンダーのレイアウトだけでいえば、そう記すのは間違いではない。180度V型エンジンをボクサーエンジンと呼ぶのは間違いといえるが、そう断言するとフェラーリに怒られてしまうかもしれない……。

名前:
山本晋也
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自動車コラムニスト
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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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