なんと2022年に新型登場って正気か!? 100年も実用性ゼロの「3輪車」を作り続ける「モーガン」の衝撃 (1/2ページ)

この記事をまとめると

モーガンの3ホイラーの歴史を振り返る

■モーガン最初の3ホイラーはプジョー製2気筒エンジンを搭載して1910年に登場した

■2011年にはリバイバルされて2022年にはまったくの新車となる「スーパー3」が登場

モーガン初の3ホイラーは1910年に登場していた

 モーガン。オールドファンにはなんともエモい響きにみちたブランドです。1913年の創業ですから、100年以上の歴史をもつ自動車メーカーであり、またものづくり企業としても稀有な存在といえるでしょう。そんな彼らのブランニューマシンは、なんと3ホイーラー! これまたエモいクルマを作ってきたものです。

 モーガン3ホイーラーといえば、その名の通り前2輪、後1輪で、後輪を駆動するクラシカルなスポーツカー。発売当初はバイクのエンジン(主にV型2気筒)をフロントエンドに搭載し、2名の乗員を小さなコクピットに詰め込んだ、ややもすれば「原始的」とも表現されるクルマです。

 それもそのはず、はじめてモーガンによって作られたのはメーカー設立前、1910年のこと。当時の税制で優遇された3輪自動車に目を付けたヘンリー・フレデリック・スタンリー・モーガン(H.F.S.モーガン)が、プジョー製2気筒エンジンを独自のフレームに載せたサイクルカー(当時はこう呼ばれていました)を製造。リトルスターと名付けて売り出したのがそもそもの始まりでした。

 この好調な売れ行きに、H.F.S.モーガンは自らの名を冠した自動車メーカー設立を決意。1912年にモーガン・モーター・カンパニーをスタートさせたのです。後にサイクルカーは4人乗りタイプや商用バンなどバリエーションを増やしながら、1953年まで40年以上も製造が続けられました。ちなみに、4輪スポーツカーのモーガン4/4が生まれたのは1936年ですから、初期のモーガンの屋台骨は3ホイーラーによって支えられていた、といっても過言でないでしょう。

 じつはモーガンが製造を中止したあとも、数多くのメーカーが3ホイーラーを作り、それぞれモーガンに劣ることのないマシンをリリースしています。例えば、宮崎駿さんが新車で手に入れたと有名な3ホイーラーはトライキング社によるもので、イタリアのバイクメーカーであるモトグッツィ製V型2気筒を搭載。カナダのカンパーニャ社は3ホイーラーを現代的かつ、フォーミュラマシン的に解釈したT-REXなる過激なモデルを作っています。岩城滉一さんが国内で走らせていたのでご存じの方も少なくないでしょう。


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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三菱パジェロミニ/ビューエルXB12R/KTM 690SMC
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DJ(DJ Bassy名義で活動中)/バイク(コースデビューしてコケまくり)
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