【試乗】日産サクラは単なるデイズのEV版じゃない! 特別感だらけの期待しかない1台だった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■新型軽電気自動車「日産サクラ」が2022年夏に発売されることが発表された

■重厚な路面接地感と落ち着いたハンドル操作感があり、まるで立派な高級車のような乗り味

■価格は233万3100〜294万円で、補助金を活用した場合は178万円から購入可能

日本にEVを普及させる特効薬として大期待

「軽自動車のEVではなく、アリア/リーフという兄を持つEV三兄弟の末っ子」としてサクラを位置付けているのだと、デザインをひと目見た瞬間に伝わってきた。三菱のeKクロスEVはガソリンモデルとほぼ変わらないデザインを採用していたのに対し、サクラは外板を作り直し、専用のデザインを与えていたからだ。

 フロントフェイスは、アリアと共通のモチーフとなる光るVモーショングリルからシームレスに仕上げられ、次世代の日産車らしい存在感を放つ。無駄なものを削ぎ落としつつ、なめらかで豊かな面や、ノーズ先端からリヤエンドまで貫かれるシャープなキャラクターラインで、上質感とともに凛とした芯を感じさせる、大人の雰囲気をたたえていた。

 軽自動車初となるプロジェクタータイプの3眼ヘッドライトや、格子に着想を得たワイドなLEDリヤコンビネーションランプ、日本伝統の水引をモチーフとしたアルミホイールなど、先進性の中にも確固たる歴史を秘めているような、重みのある印象となっている。

 ボディカラーにもこだわり、アリアのイメージカラーでもあるアカツキサンライズカッパーをはじめ、四季の彩りを表現したツートーン4色を含む、全15色。名前のとおり、咲き誇る桜のようなブロッサムピンクも設定されている。

 ドアを開けて乗り込んでみると、インテリアもデイズの面影がすっかり消え、専用のデザインとなっていた。7インチのアドバンスドドライブアシストディスプレイを採用したメーターと、9インチの大画面となったナビゲーションディスプレイを水平方向に置いたインパネは、もはや軽自動車の延長ではなくれっきとしたEVのそれ。シフトレバーもコンパクトな電制シフトに変えられている。

 ゆったりとしたソファーデザインのシートは、肌触りのよいファブリックが前席・後席ともに使われているほか、乗員をぐるりと囲むようにファブリックがあしらわれて優雅な空間を作り出す。必要な収納スペースは確保しつつも、まったく生活感が出なさそうな洗練されたインテリア。

 外観に通じる格子のモチーフがドアなどにもあしらわれており、デザイナーが伝えたい世界観が統一されている。カラーは「G」にオプションのやさしいアイボリーとなる「Premium」と、標準設定が「Black」および「Beige」。こうしたセンスの良さはデイズのときにも感じたが、それを上まわっているのがサクラだ。

 メカニズムの基本的なコンポーネンツは三菱のeKクロスEVと共用なので、20kWhのリチウムイオンバッテリーを薄型のユニバーサルスタックにし、フロア下に敷くことでデイズと遜色なく広い室内空間を確保。当時、高級セダンのフーガの後席と同等だと謳われた、後席足もとの広さも健在だ。

 シートアレンジも犠牲になっていないが、もともとデイズの後席が左右一体式のスライドなので、サクラも同様。

 家族で使う場合には、左右別々でスライドができるほうが使い勝手が広がるが、サクラはパーソナルユースがメインだと割り切っているところもあるかもしれない。前倒し操作は5:5分割で左右独立してフラットにすることができる。また、シートヒーターはパッケージオプションとなっている。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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