なんと二種免許保有者の50%以上が65歳超え! 乗客不足より乗務員不足が深刻なタクシー業界の危機 (2/2ページ)

求人に応募しやすい環境づくりが必要

 ただし、過去には実技試験を運転免許試験場のみで行っていたころはなかなか合格しないといったこともあったようだが、いまは実地試験免除、つまり教習所で実技検定試験を受けることができるようになっている。しかも、養成乗務員として通う教習所は、入社したタクシー事業者が経営していたりするタクシー業界に近い教習所が多いので、短期間で二種免許を取得させようとする傾向が目立つとも聞くので、運転免許試験場で警察官の試験官が同乗した場合より、実技試験は合格しやすくなっているようである。

 ただ、その分「二種免許とは何ぞや」とか、「タクシードライバーとしての運転」という奥深いところでの理解が不足となり、事故や苦情などのトラブル発生リスクが高まっているとも聞く。筆者個人としても、ブレーキングが荒かったり、明らかに危険予測視野が狭いなと感じるタクシードライバーを見かけることが目立ってきている。

 状況はどうあれ、二種免許も取得しやすくなっているのだが、タクシーだけでなくバスについてもドライバーはなかなか集まらない。業界に近い事情通は、「養成乗務員を募集するよりは、すでに二種免許を持っている人が積極的に求人に応募してくる環境作りが必要なのではないか」と語っている。ただ、それだけではドライバー年齢の若年化はなかなか進まないだろう。

 世の中のタクシーやバスが完全自動運転になるのにはまだまだ時間がかかる。タクシーでいえば、隔日勤務(乗務21時間以内/もちろん休憩あり)ならば、乗務明けした日は明け番となり休憩を十分とるのが原則で自由な時間となるので、一般的なサラリーマンよりトータルで見れば自由に使える時間がある。若い世代にも十分アピールすることができるものと考える。

 いままでは単にお金の話(収入)が目立っていたリクルート活動も、仕事の魅力など方向性を変える必要があるし、すでに取り組み始めている事業者も増えてきているように見える。

 先進国ではすでに海外から移民してきた人が、すぐ就きやすい仕事としてタクシードライバーになっているケースが目立つが、日本はそのような流れには現状ではならないので、このままでは完全自動運転化の前に深刻なドライバー不足が社会問題化していきそうであり(バスも同じ)、その対策は急務といえよう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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