「押しづらい」「階層が深くて複雑」の声があってもタッチパネルが増加中! いまクルマの「物理スイッチ」が減らざるを得ない理由 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■クルマへの物理スイッチの採用が減っている

■ディスプレイはどんどん大きくなる傾向にあり、タッチパネル式を採用するケースが多い

■理由やそれぞれのメリット・デメリットについて解説する

スイッチ式は視線移動することなく操作できる

 クルマから物理スイッチが消えつつある。

 最近ではタッチ操作できるセンターディスプレイにエアコンやオーディオなどの機能操作を集約することがトレンドで、物理スイッチは減っていく一方だ。保安基準として求められるハザードスイッチくらいしか残っていないようなクルマも出てきている。はたして、物理スイッチはこのまま消えていく運命なのだろうか。

 まずは物理スイッチのメリットとデメリットを整理してみよう。

 ボタン式、トグル式など形状にかかわらず物理スイッチのメリットは、その車両において位置と機能が固定されているということだ。つまり、スイッチの位置を覚えてしまえば視線移動することなく操作できるという点がメリットとなる。

 走行中にエアコンの風量を変えたい、オーディオの音量を調整したいというユーザーニーズに対して、もっとも安全に操作できるのが物理スイッチということもできる。とくにステアリングスイッチであれば姿勢変化も最小限で済むため安全運転につながる操作系といえる。

 デメリットとして指摘されるのはインテリアがごちゃごちゃとしてしまうことだ。クルマが多機能化するほどスイッチ類の数も増えてしまうため、よく使うスイッチの位置は覚えていても、それ以外については説明書を見なければわからないといったことにもなりかねない。

 もちろん、ディスプレイによるメニュー操作であっても目的としている機能が、設定メニュー階層の深い場所にあったりすると見つけづらいのは変わらないが、多機能になればなるほど単機能のスイッチを配置するという手法では物理的な限界を迎えるのも事実だ。

 さらにスイッチ類が増えてくると、ひとつひとつに割り当てられた機能を判断するのも難しくなる。とくに視力が衰えてきた高齢者にとっては小さなアイコンで機能を判別するよりもディスプレイに大きく表示されるほうがわかりやすいだろう。

 というわけで、物理スイッチが消えつつあるのはクルマの多機能化が進んでいることに関係している。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
趣味
モトブログを作ること
好きな有名人
菅麻貴子(作詞家)

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