「暴走しそう!」「壊れたら直せるんでしょ?」って十把一絡げはやめてくれよ! クルマ好きが嘆く貼られがちなレッテル4つ (2/2ページ)

「クルマ好き=スピード狂」じゃない!

 3つ目は、国産メーカーでは唯一、ファンに「スバリスト」という愛称がついているほど、濃いファンが多いと言われているスバル。その愛されっぷりはものすごく、相手がスバリストだということを知らずにスバル車の悪口を言ったら絶交されたとか、家族全員の愛車をスバル車で揃えているとか、祖父の代から3世代でスバル車を乗り継いでいる、といったエピソードも多数あるほどです。ただ、これまで多くのスバリストの方々を取材した経験から、みんながみんな、スバル車ならなんでも愛しているのかというと、それはこちらが貼ったレッテルなのだと感じることもありました。

 たとえば、スバルがラリーで全盛を誇っていた頃のスバリストには、今も「555」カラーのインプレッサWRXだけを愛している人もいるし、インプレッサじゃなくてもEJ20エンジンが大好きで、その後のエンジンは認めないという人もいたり。乗用車にはあまり興味がなく、サンバーだけが大好きという人もいました。同じスバリストと呼ばれるファンの中でも、またそこからそれぞれにこだわりがあるという、とても深い世界です。

 4つ目は、クルマ好き=スピードを出すのが好き。これもよく貼られがちなレッテルです。とくに、サーキットを走っているというと、もれなく一般道でも飛ばすんでしょ、という目で見られがちなのですが、じつは真逆の人もいます。というのは、サーキットを走ったことがない人は「サーキット=危ない」というイメージを持ってしまいがちですが、サーキットほどスピードを出しても安全な場所はありません。すべてが一方通行で、歩行者も歩いていなければ飛び出してくる自転車もいないし、電柱も看板もなく路上駐車もおらず、信号や旗で出される合図を守ることが全車に厳しく課されているため、ルールが徹底しています。つまり、サーキットでスピードを出すことは安心してできても、一般道や高速道路でスピードを出すことは怖い、と感じる人も多いのです。

 また、なかには自分の運転スキルをアップしたいために、武者修行のような感覚でサーキット走行に励む人もいます。そういう人は、サーキットを走れば走るほど、一般道では慎重で丁寧な運転をするようになるもの。クルマ好きはみんな、スピードを出すのが好きだというレッテルを貼られるのは心外だと感じる人もいるのです。

 ということで、ひと言で「クルマ好き」といっても、その方向性は細分化されており、いろんなタイプがいるものです。頭からイメージだけで決めつけず、どういう方向のクルマ好きなのか、そこから会話を始めたり、理解しようと努めてみると、一歩踏み込んだコミュニケーションができるのかなと思います。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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