新型クラウンの「スポーツ」と「エステート」はどっちもSUVにしか見えない! なぜ2車種用意するのか違いを考えてみた (2/2ページ)

「スポーティなハンドリングが楽しめる」のがクラウンスポーツだ

 もうひとつ考えられるのは、パワートレインによる差別化だ。

 トヨタは2021年12月に、一挙15台ものBEV(電気自動車)を発表したが、そのなかにはどう見てもクラウンスポーツと同じ外観と思える「クロスオーバーEV」も含まれていた。

 つまり、クラウンにおいてスポーツはBEVを基本とするクロスオーバーSUVであり、エステートはハイブリッドを基本とするクロスオーバーSUVという風に立ち位置を変えているという可能性もある。

 もっとも、新型クラウンの発表会においてBEVを出すということを明言していないことからすると、スポーツがBEV専用モデルになると判断するのは難しい。トヨタのスタンスから想像すると、スポーツにもハイブリッドを設定すると考えるほうが妥当だろう。

 たとえば、スポーツとエステートのどちらもハイブリッド仕様をベースとしつつ、スポーツにはBEVを設定、エステートにはPHEV(プラグインハイブリッド)を設定するといった風にすれば、クラウンというファミリーの中でキャラクターが被らず、両モデルでユーザーの喰い合いをすることなく伸びていくということが期待できそうだ。

 ちなみに、筆者がクラウンの発表会で耳にした情報では、「クラウンスポーツという名前は、スポーティなハンドリングが楽しめることを表現している」という。仮にスポーツとエステートが同じハイブリッドのパワートレインを積んでいたとしても、”FUN TO DRIVE”の部分において、スポーツが独自性をアピールしてくる可能性もある。

 より具体的に妄想すれば、ハンドリングの良さをさらに向上させた「GRクラウンスポーツ」といった展開も考えられる。もし新型クラウンのラインアプのなかで、トヨタが謳う走りの部分を担うモデルとしてキャラ立ちしていくとすれば、それだけでスポーツとエステートは十分に差別化できるかもしれない。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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