トヨタの軽自動車「ピクシスシリーズ」とは? 全車種を一気に解説 (2/3ページ)

トヨタの軽自動車「4車種のピクシスシリーズ」を紹介

トヨタの軽自動車1)ピクシスジョイ

 ピクシスジョイとはダイハツ・キャストのOEMで2016年から販売が開始されています。

 6代目ムーヴとメカニズムの多くを共有し、車体にかかる力や路面にかかる力をコントロールし快適性と操作性、動力性を高めるフォースコントロールコンセプトを採用したことなどマニアックなポイントも有していました。

 デビュー時は標準タイプの「F」に加え、最低地上高を30mm上げ樹脂製のプロテクターなどで身を纏ったSUVテイストの「C」、ホットな走りを可能とした「S」と3つのボディをラインナップしていましたが2020年の一部改良時に「C」と「S」が廃止。現在は「F」のみが販売されています。

「C」には悪路走破性が高い4WDシステムを装備し、スポーツ仕様の「S」には専用チューンが施されたサスペンションを投入するなど独自機能備わっていた2タイプが廃止されたことで、デビュー時と比べクルマの個性が失われてしまいました。

 ただし、現在販売されている「F」もSUVやスーパーハイトワゴンが主流となった軽自動車ジャンルの中でクロームメッキを随所に配置したスペシャリティ軽としてライバル車不在で独自の世界を備えています。

 パワーユニットは2タイプが用意され、ダイハツ製KF型660cc直列3気筒エンジンのターボ付きとNAがラインナップされています。高速道路でロングドライブを楽しむ場合などターボ車の恩恵を感じますが、市街地での日常使いであればNAで十分な走行性能を実感するのではないでしょうか。

 ピクシスジョイはN-BOXなど売れ筋軽自動車のようなスーパーハイトワゴンではありませんが、室内高1245mm、室内長2005mmと室内空間は十分。大容量深底ラゲッジアンダーボックスを備えたラゲッジルームも広さに不満を感じることはないでしょう。

 またデビュー後、すでに6年を経過するモデルではありますが衝突回避支援ブレーキ機能や車線逸脱警報機能など備わっているダイハツの先進支援安全装備「スマートアシストⅢ」が備わっています。渋滞追従ACCなどが標準装備されているいまどきの軽自動車に比べ装備はやや劣りますが、安全性能にもこだわったクルマであることは間違いありません。

トヨタの軽自動車その2)ピクシスエポック

 最も安い「B」は86万200円と、トヨタの軽自動車においてベーシックラインを担うピクシスエポック。ダイハツ・ミライースのOEMで2017年に販売を開始しました。

 先程も記載しましたが軽自動車の主流がスーパーハイトワゴンになった現在ですが、セダンタイプの需要もけして少なくない中、ビジネスユースを含めピクシスエポックは貴重な存在といえるでしょう。

 ハイトワゴンに比べると背が低いピクシスエポックですが長めのホイールベースを採用するなど室内空間はけして狭くはありません。頭上空間こそハイトワゴンには劣りますが、リヤシートのひざ前は見た目からは想像できないほどゆとりを備えています。

 パワーユニットはシンプルな構成でKF型660cc直列3気筒NAエンジンの1タイプ。最高出力57psとパワーは十分で軽い車体を軽快に走らせます。しかも、燃費は23.2〜25.0km/Lと優れているところも魅力的。

 特筆したいのが、とにかく運転しやすいこと。ハイトワゴンほど運転席の座面は高くありませんが視界は広く、最小回転半径が4.4mと相まって取り回しが楽なことに感心するほど。ただしAピラーがやや寝ているため、乗降時には不満を感じることもあるでしょう。

 またピクシスエポックで嬉しいポイントとして衝突回避支援ブレーキ機能などが備わったダイハツの先進支援安全装備「スマートアシストⅢ」が装備されていること。

 残念なことに全グレードに装備されているわけではなく、BやLには装着できませんが、運転時の安心に繋がる嬉しい装備です。

 ピクシスエポックの購入を考える場合、日常使いメインでも「スマートアシストⅢ」が標準装備となる「B“SAⅢ”」(92万6200円)以上のグレードを選びたいものです。

トヨタの軽自動車その3)ピクシストラック

 ダイハツ・ハイゼットのOEM車であるピクシストラック。ハイゼットのマイナーチェンジとともにピクシストラックも2021年にマイナーチェンジが実施されました。

 改良された箇所は多岐にわたっており、軽キャブトラック車(FR車)で初採用となったCVTの搭載をはじめ。クラス初となる3モード切替機能付き電子制御4WDの搭載、先進支援安全装備の機能追加、クラス初となるキーフリースタート&プッシュボタンスタートなど機能面向上のみならず、快適装備も充実しています。

 ただ、OEM元となるハイゼットがハイルーフやキャビンを延長したジャンボなど多彩なバリエーションが用意されていることに比べピクシストラックはそれらの仕様が用意されていません。

 働くクルマとして気になる荷台の広さは荷台フロア長2030mm、荷台幅1410mmとクラス最大の広さを有しており。りんごコンテナ48個、みかんコンテナ54個を積載できます。

 また室内空間も室内幅は軽自動車No.1の1340mmを確保。

 助手席側の足元スペースが広く取られていることで荷物や工具箱を置くことが可能となっています。

 また身長にかかわらず乗り降りしやすいようフロア高やドア開度などがこだわられていることも注目ポイントといえるでしょう。

 パワーユニットはダイハツ製KF型660cc直列3気筒NAエンジンのみをラインナップ。軽トラックが様々なシーンや路面状況で使われるため山道やぬかるみなどで威力を発揮する電子制御式4WDが新たに採用されました。

 この4WDは路面状況に応じて駆動力を制御する「4WD AUTO」、未舗装路などに最適な「4WD LOCK」、通常走行時に使用する「2WD」と3つのモードを選択できます。

トヨタの軽自動車その4)ピクシスバン

 2021年に登場した11代目ハイゼットカーゴのOEM車となるピクシスバン。ハイゼットカーゴ同様、2021年にフルモデルチェンジされました。

 新型となったピクシスバンですが、トヨタのTNGAをベースにしたダイハツの新たな取組「DNGA」を軽商用車として初めて採用し基本性能や安全性能を進化。また今年から適用された商用CAFE規制(企業別平均燃費基準)に対応すべく燃費を向上させています。

 先代と比べ商用車として重視される荷物の積載量がアップしてことも大きなトピックスでしょう。荷室上部をスクエア化し区間を拡大することを可能としたほか、荷室側面や床面をフラット化し効率的に荷物を積載することができるようになったことも積載量拡大に寄与しています。

 そんな荷室空間ですが2名乗車時の荷室長は1820mm(4名乗車時は1005mm)、2名乗車時の荷室幅は1265mm(4名乗車時は1410mm)。みかん箱は68個、パンケースは71ケース、ビールケースは36ケース積載することができるスペースです。

 また後席を格納し、助手席を前倒しすることで最大2650mmのスペース長が生まれ長尺物を積載することも可能です。

 また、ピクシストラック同様、FR用CVTを搭載したことやスマートアシストが13種類の予防安全機能を備えたこと、キーフリー&プッシュスタートボタンを採用したことなどによる快適装備の充実など先代モデルから各種機能が大きく進化しました。


新着情報