【試乗】RSの名は伊達じゃない! 細部までスポーティに仕立てられたフィットRSを堪能 (2/2ページ)

走りはもちろん車内もRSの名に相応しい仕立て!

 サスペンションにも特別なチューニングが与えられ、ハンドリング面の進化も感じられる。

 スプリングやダンパーを硬く設定し、コーナリングや減・加速時にフラットな車両姿勢を保てるようにしている。フロントスタビライザーも強化され、ロール剛性も高められ、高速コーナリング時のステアリング応答性やトラクション特性を高めている。これで加速旋回時のライントレース性が向上し、ステアリングの操舵フィール向上と相まって、運動性能の質感が見直されているのがわかる。

 こうした走りの特性は、やはり高速域での使用条件に厳しい欧州の市場特性への適合性を高めるためで、国内のユーザーは図らずもその恩恵に預かれるというわけだ。

 室内装備に目を移すと、黄色にステッチが縫い込まれたRS専用のシートが目を引く。革巻きステアリングのステッチも黄色で統一されスポーティだ。ルーフライナーやピラーカバーはグレーの暗い内装色となり、また、Aピラー前方ウインドウステーはブラックのカバーとなり、前方視界で目立ち過ぎていた4本のピラーの存在を意識させなくしている。

 後席についてはほかのグレードと同様で、ポップアップ跳ね上げ式シート座面による収納性向上機構は引継がれていたが、3代目フィットが持っていたリクライニング機能は消滅したままだ。足もとの広さやスペース効率が良いだけに、後席の居心地を良くするリクライニング機能は復活を願いたいところだ。

 タイヤにはヨコハマタイヤ・ブルーアース(185/55R16)が装着されている。これはRS専用にチューニングされ、グリップと転がり抵抗の最適化を図り、さらに優れたウエット性能と快適性の両立を実現しているという。試乗ルートのワインディング路にはところどころウエットパッチがあり、路面コンディションとしては滑りやすい様相を呈していたが、RSのライントレース性はすこぶる高く、操縦安定性とリニアな操舵フィーリングには好印象を受けた。

 最小回転半径は5.2mとほかのグレードより大きいが、コンパクトカーならではの取りまわし性に優れ、実用性も高い。また、広い室内のパッケージングはフィットの美点そのものだ。

 正直、4代目フィットのデザインはあまり好みではなかったが、RSが追加されたことでその走りの良さがフィット全体の印象を大きく切り替える活力となってくるのは間違いないだろう。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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