乗用はN-BOXだけど商用車は何が一番売れてる? 気になる販売台数ランキングを調べてみた (2/2ページ)

いま軽商用車は少数精鋭に

 軽商用バンのスズキ・エブリイは、2021年の1カ月平均が約5000台だったが、OEM車は豊富だ。日産NV100クリッパーは約2200台、マツダ・スクラムバンは約400台、三菱ミニキャブバンも約400台で、合計すると1カ月平均が8000台に達する。僅差ではあるが、ハイエースの7900台を上まわった。生産総数では1位だ。

 ダイハツの場合、スバルとトヨタに供給されるOEM車を含めた生産総数は、ハイゼットトラックが約7400台、ハイゼットカーゴが約7200台であった。

 スズキ・エブリイでは、日産に供給されるNV100クリッパーの販売台数が1カ月平均で2200台に達しており、エブリイ+OEM車の販売総数を押し上げた。

 軽自動車は薄利多売の商品で、商用車になると、その傾向が一層強まる。1カ月の生産規模が5000台以下では、経営的に成立しない。そこでスズキの軽商用車は、日産/マツダ/三菱にOEM車として供給されるわけだ。生産を行うスズキを含めると、同じクルマを乗用車メーカー8社の内、4社が販売する。ダイハツもトヨタとスバルに供給して合計3社が扱う。

 残る1社はOEM関係をほとんど結ばないホンダで、独自に開発していたアクティバン&トラックは廃止した。採算の面からアクティは成り立たないからだ。

 ホンダはアクティの代わりにN-BOXをベースにしたN-VANを効率良く開発したが、その荷室長は、エンジンを床下に搭載したアクティバンに比べて大幅に短い。アクティバンに積めた荷物がN-VANには収まらない場合がある。この不利を補うため、N-VANは左側のドアをピラーレス形状にして開口幅を広げた。助手席もコンパクトに格納できる構造にして、運転席以外はすべて平らな荷室として使える。

 薄利多売を生き抜くには、厳しい商品開発と低コスト/低価格が要求される。そのために軽商用車は少数精鋭になり、商品力を高めて、大量に購入されているわけだ。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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