かつて「ソリッド」と「メタリック」しかなかったクルマのボディカラーの進化っぷりが衝撃だった (2/2ページ)

インパクトのある塗装はその分高価になる

 見る角度により、色が変わって見えるマジョーラカラーがある。輝きはメタリック塗装と似ているが、光の当たる角度によって色が変わって見える塗装で、1998年のフォーミュラ・ニッポンにチーム・インパルの車両がこのマジョーラカラーで登場し、一躍大きな話題となった塗装である。

 多層の塗色構造とすることにより、光の反射を表面層と中央層の二部分に分け、分光効果によって発生する干渉波長を利用し、入射角度の変化に伴い、人間の目には異なる色として見えることになる。このマジョーラカラーは、組み合わせる色によって見える色も異なり、インパルのフォーミュラはアンドロメダ(グリーン/パープル)と呼ばれるカラーで塗られていた。なお、このマジョーラカラーは日本ペイントの登録商標で、アンドロメダというカラー名も同社のカラー呼称である。

 キャンディのように、透き通って厚みのある輝きを見せるキャンディ塗装がある。カスタムペイントで多く使われる塗装方法で、下地に黒、次にメタリック層(シルバーorゴールド)、そしてクリアカラー層(着色層)で仕上げる方法で、非常に厚みのある発色(見え方)となり、見応えのある塗装の仕上がりとなる。

 ほかには、ソリッド塗装の派生タイプで、マットブラック仕上げがある。自動車の塗装といえば、光沢のある仕上げが一般的とされてきたが、スーパースポーツカーや高級車で艶消し黒の塗装が用いられる例があった。表面を凹凸に仕上げる方法で艶消しとした塗装だが、塗装表面に凹凸があるため、ホコリや汚れがつきやすく、また塗装表面をこすると凹凸面が均されて平滑化され、艶消しが保てなくなる手入れの難しい塗装仕上げである。

 見る側に新鮮な印象を与えるいくつかの光輝塗装は、通常の塗装とは異なる見え方となって付加価値の高さを感じさせてくれるが、その分だけ高価な塗装であることも記憶の片隅にとどめておこう。


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