新車購入は「3月がお得」だったのは過去の話! 納期遅延がもたらした「値引き」の変化

この記事をまとめると

■かつて3月に登録や届け出を行うと、値引きなどが拡大した

■納期遅延が深刻な現在はどうか?

■トヨタ、ホンダの販売店に決算値引きの状況を聞いた

ディーラーオプションなどをサービスで装着することも

 従来は決算月の3月に登録(小型/普通車)や届け出(軽自動車)を行うと、値引きなどが拡大した。2000年以前のような多額の値引きは無理だが、ディーラーオプションのプレゼントなどを含めて、購入条件が良くなった。

 果たして今はどうなのか。納期が1年に達する車種も増えて、2023年1〜3月に契約しても、登録できるのは2024年の3月になったりする。

 そこでトヨタの販売店に決算値引きの状況を尋ねると、以下のように返答された。「たとえばノアやヴォクシーの納期は、ノーマルエンジン車が約7カ月、ハイブリッドは約1年だ。車両価格の全額が振り込まれるのは納車直前だから、契約時点で値引きの話はできない。下取り車の査定額も納車時には変わる。また(取材した販売会社の場合)、クラウンは基本的に値引きゼロで売るように言われている」。

 それなら値引き販売は一切行わないのか。「値引きをせずに売るのは、お客様の心情も考えると、実際には難しい。決算期に登録できる車両はきわめて少ないから、いわゆる決算値引きではないが、可能な範囲内で値引きを行う。商談の進み具合に応じて、ディーラーオプションなどをサービスで装着することもある」。

 ホンダの販売店からは在庫車の話も聞かれた。「N-BOX、フリード、フィットなど、大量に売られる軽自動車やコンパクトカーでは、在庫車も確保している。在庫車なら2週間程度で納車できるから、3月の決算値引きも可能だ。またフリードは発売から5年以上を経過しており、通常の値引き額も増えた。逆にヴェゼルは設計が比較的新しく人気も高い。納期も長いため、価格の割に値引き額は少ない」。

 以上のように今は納期が長いため、決算期に登録や届け出を行って、多額の値引きを引き出すのは難しい。通常の値引き販売は行うが、販売会社の立場で考えると、納期が長いわけだから、わざわざ多額の決算値引きをする必要はない。国内販売台数は、コロナ禍直前の2019年に比べても約20%減ったから、売り上げの減少を考えても値引きはしにくいのが実情だ。

 その一方で限られた売れ筋車種には、在庫車も用意される。これについては「値引きの条件も良い」と言う。メーカーや車種によって対応が異なるから注意したい。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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