公道で走るハズだったレベル4自動運転車! コロナのせいで幻となったトヨタ「LQ」

この記事をまとめると

■トヨタは「LQ」と呼ばれるコンセプトカーを公道で走らせていた

■AIを搭載していたり自動運転レベル4相当の技術を搭載するなど先進的なクルマだった

■東京オリンピックと連動する形でイベントなども計画されていた

あの未来感溢れる謎のクルマは一体なんだったのか

 ちょっと風変りな、あの「LQ」。あれからどうなっただろうか?

 LQとは、トヨタが2019年10月11日に「新しい時代の愛車を具現化したクルマ」として詳細を公表したモデルだ。ボディ寸法は、全長4530mm×全幅1840mm×全高1480mm、ホイールベースは2700mm。乗員店員は4人で、パワートレインはEV。満充電での航続距離は300km程度とした。

 LQ最大の特徴は、AI(人工知能)のエージェントである「YUI」が乗員に対するモビリティエキスパートになることだ。運転者の表情や動作から運転者の意図をLQが先読みして、快適な運転をサポートしたり、
車内でのエンターテインメントでも運転者の興味や移動先の情報提供など、クルマが人に寄り添う形を追求したところ。

 また、自動運転については、運転の主体がクルマのシステムであるレベル4を想定。駐車場では、無人での自動バレーパーキングを実現する。そのほか、車内ディスプレイではトヨタ初となる有機ELメーターを採用するなど、当時のトヨタとしての最新技術を満載したクルマという説明だった。2020年6月から9月、東京オリンピックと連動する形で、現在は閉館してしまったMEGA WEBとお台場周辺の公道を使った「トヨタYUIプロジェクトツアー2020」を開催予定としていた。

 しかし、コロナ禍となり、そして東京オリンピックが延期。トヨタが描いていたLQ活躍の場が設定することが難しくなった。2023年4月時点で、トヨタからLQに関する正式コメントはない。

 では、改めてLQ登場の背景について考えて見る。

 LQの原型は2017年1月、米ネバダ州ラスベガスで開催されたITと家電の世界最大級見本市であるCES(コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)にトヨタが出展した「コンセプト-愛i」だ。

 この「愛i」とは、家族愛や地球を愛する心といった考え方があるのは当然だが、そこにトヨタは「愛車」を重ね合わせた。豊田章男社長(当時)は常々、「人が日常生活を送る中で、所有しているもので愛という表現を使うのは、愛車だ」と表現をしてきた。

 2010年代半ば以降、自動車産業界がCASE(通信によるコネクテッド、自動運転、シェアリングなどの新サービス、電動化)という新しい技術が台頭し、いわゆる「100年に1度の自動車産業大変革期」に突入した、と言われるようになった。

 そうした時代だからこそ、トヨタとしては自家用車の原点である「愛車」というクルマのあり方を再認識するべきだと主張してきた。

 それを具現化したのは、「コンセプト-愛i」である。

 こうしたコンセプトモデルならば、ほかのメーカーでも実施できるかもしれないが、驚きだったのがLQという形で、日常的に使えるクルマとして登場したことだ。

 トヨタには、「愛車」精神を貫くLQを、今後なんらかの形で世の中に広めていって欲しい。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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トヨタ・ハイエースキャンパーアルトピア―ノ等
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動物たちとのふれあい
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