90年代以降のオープンモデルはより個性的なモデルが多く存在
RZ(1992年)
1985年にデビューしたセダンの75をベースとするレース用モデルのシャシーを用いて、アルファロメオのレース部門が開発したスポーツカーのSZ。1989年に登場したSZは3リッターV6エンジンを搭載し、独創的なデザインを採用したことでアルファロメオファンだけでなく、クルマ好きから大いに注目を集めました。
ベース車の75に用いられていたトランスアクスルなどにより、とくにハンドリングに優れたモデルとの定評を得たSZ。同車をベースにオープンモデル化されたRZが1992年に登場しました。
RZはソフトトップを採用し、ウインドウシールドもSZより低く変更されたことで、よりスポーツカーらしさが増しています。
RZはカロッツェリア・ザガード社で生産されましたが、総生産台数は300台に満たなかったこともあり、現在では1000万円を超える価格で取引されています。
スパイダー(1994年)
エッジの効いたキャラクターラインが特徴のピニンファリーナ製デザインが目を引くスポーツクーペGTVがデビューしたのは1994年。GTVとともにオープンモデルのスパイダーもラインアップされました。
クーペのGTVとはリヤスタイルこそ異なるデザインを採用していますが、先に紹介したジュリア・スパイダーをモチーフとする盾形状のフロントグリルやフォルムは共通です。
約25秒で開閉する電動トップを採用したスパイダーは、GTVとは異なり完全な2シーター。パワーユニットは1.8リッターもしくは2リッター直4エンジンがラインアップされていましたが、モデル末期となる2004年には3リッターV6エンジンが用意されました。
スパイダーは2006年まで販売され続け、アルファ・スパイダーへとバトンタッチされました。
アルファ・スパイダー(2006年)
長年、販売が続けられたGTVの後継モデルとして2005年にアルファ・ブレラが登場。4ドアセダンの159のプラットフォームを元に開発されたのがクーペのブレラで、同車をベースとした2シーターオープンのアルファ・スパイダーが2006年に追加されています。
フロントグリルなどはブレラと共通していますが、ブレラのデザインはジウジアーロが手がけたことに対してスパイダーはピニンファリーナが担当。生産も同社の工場で行われました。
アルファ・スパイダーが登場した当時はスチールトップのバリオルーフがオープンカーの主流となりつつありましたが、同車は電動のソフトトップを採用。ただし、幌は5層構造と快適性にこだわっています。
アルファロメオファンやクルマ好きに注目された同車ですが、販売は伸びず、またアルファロメオ自体の経営が悪化したことにより2010年、ブレラとともに生産が終了しました。
8Cスパイダー(2006年)
第二次世界大戦前後に製作されたレーシングカーをオマージュしたスポーツカーが8C。2003年の独フランクフルトショーにてクーペ版8Cコンペティツィオーネのコンセプトカーが公開され、その後、2006年に500台限定生産されることとともに実車を発表。2008年から販売が開始されました。
スチール製プラットフォームにカーボン製パネルを組み合わせたボディに4.7リッターV8エンジンを搭載。最高出力450馬力を発揮するエンジンのパワーで最高時速は290km/hを実現しています。
2006年にはオープンモデルの8Cスパイダーの生産を開始。500台限定で生産および販売されました。
4Cスパイダー(2014年)
アルファロメオファンにとって記憶に新しいオープンカーといえばこのクルマなのでは。2013年にデビューした4Cのオープンモデルとなるスパイダーは、2014年にラインアップに追加されています。
第二次大戦前に活躍したレースカーの命名方式で名付けられた4Cは4気筒を意味します(先程紹介した「8C」は8気筒)。
この4Cは65kgと軽量なカーボンタブとアルミフレームを結合したボディのリヤミッドシップにエンジンを搭載した本格的スポーツカーで、オープン化されたスパイダーも本格スポーツを名乗るにふさわしい剛性を確保しました。
スパイダーはスチールトップではなく布製を採用。電動で開閉するのではなくオープン時にはトップを取り外しトランクに収納する必要があります。
最高時速は250km/hを誇った4Cおよび4Cスパイダーは2020年に惜しまれつつ、生産を終了しました。
まとめ
セダンやクーペの名車が揃うアルファロメオですが、このように振り返ると魅力的なオープンカーが数多く販売されていたことがわかります。
残念なことに現在はSUVもしくはセダンしかラインアップしていませんが、いつの日かエレガントなフォルムを身につけたアルファロメオのオープンカーが復活することに期待しましょう。