【試乗】ファンの皆さん安心してください! アルファロメオ初の電動車「トナーレ」は「らしさ」満点のキレッキレのハンドリングSUVでした (1/2ページ)

この記事をまとめると

アルファロメオの新型SUVであるトナーレのTiグレードに試乗した

■1.5リッター直4に48Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせ、電動走行も可能としている

■燃費もよくて吹き上がりも気持ちいいが、トナーレのハイライトはハンドリングだった

まずはマイルドハイブリッドから導入開始のトナーレ

 アルファロメオ・トナーレにはより強力なプラグインハイブリッドのAWDモデルが存在することもアナウンスされていて、そちらはそろそろ本国で発売になるかならないかのタイミング。いずれは日本市場にも導入されることになるだろうが、最初に上陸したのは、いわゆるマイルドハイブリッドのFWDモデル。ヨーロッパでも日本でも先に販売されることになったことからも、それに価格の面からも、アルファロメオがこちらをメインストリームと考えていることが察せられる。

 そのパワートレインは、1.5リッター直列4気筒、48Vモーターを内蔵した7速デュアルクラッチ式トランスミッション、エンジンの始動と回生ブレーキを担うベルトスタータージェネレーター、リチウムイオンバッテリーという構成だ。

 内燃エンジンはフィアット・パワートレイン・テクノロジー製のファイアフライ系を基にした、ほぼ新開発といえるもの。可変ジオメトリーターボを備え、160馬力/5700rpmのパワーと240Nm/1700rpmのトルクを発揮する。48Vモーターは単体では20馬力と55Nmだが、トランスミッション比の関係で、そのトルクはギアボックス入力値では135Nmに相当するという。

 多くのマイルドハイブリッドのクルマたちと異なるこのパワートレインのひとつの特徴は、モーターによるEV走行ができる、ということだろう。バッテリー容量が小さいので距離がたっぷり稼げるわけじゃないし働きも限られるけど、発進時や低速時にはモーターのみで走ってることが多い。

 メーカーのアナウンスによればゼロスタートから15〜20km/hの速度域までとされていて、実際にもそのくらいでエンジンが始動することが多いのだが、アクセルペダルを注意深く操作していくと、30km/hを越えるあたりまではモーターだけで走ることができた。

 街なかでも高速道路でも、巡航からアクセルペダルをオフにするとコースティングするし、制動力にはさほど作用しないが、減速時に回生が働いて電気を取り戻してることもわかる。WLTCモードで16.7km/Lとなかなか悪くない燃費をマークしてるのも、その恩恵だろう。

 巡航から加速をしようとアクセルペダルを踏み込むと、エンジンのトルクがついてくる直前、それより一瞬早く別の推進力がクルマを前進させようとすることが感じられる。そう大きなものではないながらも、モーターが加速をアシストしてくれてるわけだ。電動化のメリットはしっかりと感じられる。走りの楽しさをスポイルするようなこともない。

 ファイアフライ系のエンジンは、もともと実用エンジンながら、レスポンスよくシャープに吹き上がる性格の持ち主であることは、知ってる人はよーく知ってる。それをもとに大幅に手を加えたというだけあって、レスポンスはなかなか鋭いし、トップエンドまでストレスなく素早くまわっていくし、吹き上がっていくときのいかにも4気筒らしい思いのほか快いサウンドも含め、けっこう気持ちいい。

 ものすごくパワフルというわけではないけれど、まわしていくことに喜びを感じられる高回転型で、パドルもしくはセレクターのシーケンシャル操作で積極的に変速しながら走りたくなるような楽しさがある。ブンブンまわしながら走ってるときの爽快感は、姉にあたるステルヴィオの2リッター直4ターボを、もしかしたら越えてるかもしれない。

 加えて低中速でのトルクにも不足はないしモーターのアシストもあるから、扱いづらさのようなものもない。いいパワートレインだな、と感じる。強力な速さこそないけれど、快さや楽しさ、乗りやすさのいずれも犠牲にしないあたり、アルファロメオの伝統を受け継いでるのだな、と思う。


嶋田智之 SHIMADA TOMOYUKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
2001年式アルファロメオ166/1970年式フィアット500L
趣味
クルマで走ること、本を読むこと
好きな有名人
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