中学生程度の年齢でも運転することが可能な地域も
 ただし、興味深いのは戦時中での特例措置があったことだ。
 記事によると、戦時中の特例として、普通免許と特殊免許の取得可能な年齢が15歳以上、また小型免許が14歳以上に変更されている。
 これは、あくまでも一般的な解釈の上での筆者の私見だが、こうした運転免許の取得可能な年齢の引き下げは、戦地に赴く義務のない年齢の若年のなかで、物資の移動などの実質的な労働力として、運転を担う若者を必要としたことが考えられる。
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 つまり、運転免許の取得可能な年齢は、国や地域の社会状況によって決まることもあり得ると言えるだろう。
 そう考えると、アメリカでの運転免許の取得年齢が州によってかなりの差があるという現状についても理解できる。
 州によって、16歳から18歳などさまざまだが、いずれの場合も通学を含めた日常生活のなかで公共機関がほとんどなく、しかも移動距離が長いために、若い世代で自動車を使うことが必然という社会状況にある。そして、それを認めるという社会体系でもある。
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 また、条件付きで14~15歳という州もあるが、その場合は農業や酪農業などで自営する家族を支えるという社会の事情も加味されている。
 今後、日本においても、社会状況に変化が生じる、または自動車がモビリティという概念として社会のなかでの位置づけが変わると、運転免許の取得可能な年齢が変わったり、また免許を所有できる年齢の上限を設けるといったことが起こり得るのではないだろうか。