V8スペシャルモデルもついに1億円超え! サーキット専用モデル「XX」の名が与えられたフェラーリのロードカー「SF90XXストラダーレ」と「SF90XXスパイダー」を初公開 (2/2ページ)

1億2000万円超のプライスで1398台すべて完売

 SF90XXストラダーレ/SF90XXスパイダーはエアロダイナミクスも見どころのひとつ。発生ダウンフォースはSF90ストラダーレから倍増を果たしており、グリップの向上がフィオラノのテストコースのラップタイム大幅短縮を実現。フェラーリ史上どのロードカーよりも効率に優れた空力パフォーマンスで、これに迫るのはスペチアーレのラ・フェラーリだけだという。

 エアロダイナミクスの観点で、もっとも効果的となっているのは固定式リヤウイングの存在だ。このリヤウイングは、XXプログラムモデルのノウハウが導入されており、その形状は効率性を最優先に決定。ウイングの作り出す圧力揚が、シャットオフガーニー周辺で生まれる正圧・負圧の複雑なシステムと相互作用を生むように磨き上げられた。

 シャットオフガーニーも再設計されており、ダウンフォースと空気抵抗のトレードオフを効率的にマネージメント。2種類のレイアウトが用意されており、LD(ロードラッグ)では可動エレメントが持ち上がって固定セクションと整列して空気抵抗を最小限に抑えて前後方向のパフォーマンスを強化。対してHD(ハイダウンフォース)では可動エレメントが下降してプロウンエリアをふさぎ、気流を固定エリアにぶつけることで生まれた加圧エリアがリヤのダウンフォースを発生させる。

 また、SF90XXストラダーレ/SF90XXスパイダーで特徴的なのがフロントスプリッターだ。SF90ストラダーレよりも大型で、風洞で緻密に開発作業されたフロントスプリッターは、強力な管状の気流を車体下に発生させ、再設計されたアンダーボディで活用される。フロントディフューザーもサイズと幅が拡大されており、同じく再設計されたボルテックスジェネレーターとの相乗効果で発生ダウンフォースが大幅に増加している。

 そのほか、フロントバンパー下部のサイドルーバーやフロントのホイールアーチに導入されたルーバー、車体後部のインタークーラー用エアインテーク前のスクープなど、さまざまな改良が施されており、ダウンフォースの増加やパワートレインの冷却効率などに多大な貢献を果たしている。

 このように、空力パフォーマンスを徹底的に追求したSF90XXストラダーレ/SF90XXスパイダーであるが、フェラーリらしさを犠牲にしていないのも美点。そのコンセプトは、あらゆる面で紛れもなくXXプログラムモデルのそれであり、シャープでラディカルなデザイン要素が結実して強い個性が表現される。

 スタイリング面でも、もっとも特徴的な要素となっているのはリヤウイングで、レーシングカーのような典型的なロングテールのシルエットを作り上げている。なお、フェラーリのロードカーで固定式リヤウイングを採用したモデルは、F50以来28年ぶりの登場となるという。

 また、テールのトライマラン(三胴船)のデザインも特徴で、タイヤ後方のリヤベントがいっそう際立ったものとなっており、トライマラン部分に組み込まれた2本センター出しのエキゾーストが、アグレッシブなイメージを強調する。

 インテリアは、高機能ファブリックとカーボンファイバーを多用したシンプルで軽量化が徹底されたレースの世界を連想させるものとなった。

 ドアパネルは、SF90ストラダーレで見られたテーマを際立たせたもので、ダッシュボードに続くくぼみを色の対比で強調。一方、中央部の3本ルーバーはホイールアーチのエアベントと呼応したもので、ダイナミックな印象を生み出している。エクステリアの要素を反映した3個の開口部も新しい手法を駆使して操作機能をシームレスに組み込んでいる。

 センタートンネルはサイズを抑えた軽量なものを採用。シフトゲートはセンタートンネル中央前寄りにレイアウトが最適化され、ウインドウスイッチとキーコンパートメントは第2階層に設置された。機能的な空白と構造的な立体をスタイリッシュに組み合わせ、センタートンネルにスポーティで洗練された印象をもたらしている。

 カーボンファイバー製チューブラー構造のレーシングシートは、快適性を損ねることなくスポーツ走行の楽しさを高めるよう、このモデルのために専用で設計されたもの。バックレストと座面の分離を伸縮性のあるトリムで隠したことで、まるで一体型シートのようなフォルムを実現している。

 SF90XXストラダーレは799台の限定発売で価格は77万ユーロ(日本円換算で約1億200万円)、SF90XXスパイダーは599台の限定発売で価格は85万ユーロ(日本円換算で約1億3400万円)。いずれもすでに完売しているという。

 フェラーリ史上はじめて「XX」の名前が与えられたロードカーとなるSF90XXストラダーレ/SF90スパイダー。そのディテールを詳細に見れば見るほど、このモデルが「XX」を名乗るだけの価値を持つモデルであるということがわかる。1億円超のプライスにも納得せざるを得ない。


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