話題の「デリカミニ」の使える度がヤバイ! 大人2人+愛犬の泊まり旅の荷物が余裕で積める衝撃 (2/2ページ)

後席の前方スライドとフラットフロアが思った以上に優秀だった

 もちろん、ekクロススペース、ルークスも同寸法のラゲッジスペースは、後席が最後端位置だと、奥行き290mm、幅885mmと、決して余裕あるスペースは言えない。上記の荷物など入りようがないのである。が、クラス最大の320mmもの左右分割後席スライド機構(N-BOX190mm、スペーシア210mm、タント240mm、ルークス320mm)によって、後席を再前端位置にセットしたらどうか。なんと奥行きはこれまたクラス最大の660mm(N-BOX600mm、スペーシア525mm、タント485mm、ルークス660mm)まで拡大するのである。

 ここで、ラゲッジスペースに積み込む、機内持ち込みサイズのキャリーケースの高さ=最大長を思い出してほしい。それが540mmだから、ラゲッジスペースの最大奥行きが660mmのデリカミニ(とルークス)なら唯一、安定して積める、倒して縦にした状態で積み込むことができるのだ。この積載方法が可能なら、キャリーケースの上に柔らかい、軽い荷物を置くことも可能。キャリーケースの横幅を取らないため、ふたつでも余裕の余裕で、ペットカートの車体本体や愛犬用のバッグなども併せて積み込めるのである(写真参照。後席は最前端位置)。

 もちろん、キャリーケースを転がしている状態と同じように、倒さず縦にして積み込めば、奥行きは機内持ち込みサイズのキャリーケースの奥行分230mmで済むから、すべてのスーパーハイト系軽自動車に、それも後席後端位置でも積めることになるのだが、キャスターによって不安定になってしまい、走行中、ガタガタしたり、テールゲートを開けたときに飛び出すなどのデメリットがある。

 というわけで、デリカミニに夫婦と愛犬用の荷物を安定した状態で積み込み、無事、ドライブ旅行に出掛けることができたというわけだ。

 今回、ペットカートは、軽量でコンパクトに畳める一体式ではなく、キャビン(コット=犬の乗車部分)と車体本体が分離するタイプを持っていったのだが、これが大正解。車体本体は畳んでラゲッジスペースに置き、キャビンは後席に設置。キャビン付属のベルトで固定し、犬を安全に乗車させることができたため、ペットカートのラゲッジスペースの専有面積を極端に少なくすることができたのである。一体式ペットカートと後席用の愛犬用ベッドのふたつを車内に持ち込むより、荷物の積載面でもはるかに効率的といっていい。

 とはいえ、一体式ペットカートのような長尺物を横積みするのは、車幅(荷室幅)が限られた軽自動車にとって苦手項目。たとえば、折り畳み長1005mmの一体式ペットカートを畳んで乗せるのは、そもそもラゲッジスペースのフロア幅が885mmしかないデリカミニでは難しい。斜めにすればなんとか積み込めるものの、それではほかの荷物の積載性が大きく悪化してしまう。

 が、デリカミニ(ekクロススペース、ルークスも同様)の後席を最前端位置にセットすると、奥行を拡大したラゲッジスペースの前端、左部分にちょうどいい凹みが出現。ラゲッジスペースの幅は885mmでしかないのに、折り畳み長1005mmの一体式ペットカートをスマートに横積みすることができたのであった。

 このように、後席後端位置では最小限のラゲッジスペースでしかない軽自動車、スーパーハイト系軽自動車でも、後席を前方スライドさせることで、ラゲッジスペースの広さ&奥行きは自由自在。デリカミニの320mmのロングスライド機構もすごいが、身長172cmの筆者のドライビングポジション背後で、後席を最前端位置にしたとしても、筆者自身がなんとか座れる膝まわりスペースが確保されるのだから、アウトドア派や愛犬家にもぴったり。

 AWDならちょっとした悪路や雪道にも強く、ターボならロングドライブも楽々こなしてくれるスーパーハイト系軽自動車、犬っぽい「デリ丸顔」のデリカミニの”魔法”とも言えるパッケージング、恐るべしである。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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