JAFのロードサービス出動理由の10%! EVの電欠は想像以上に多かった!!

この記事をまとめると

■JAFが電欠したEVへの充電支援を行うサービスカーの試験運用を開始

■JAFのすべてのロードサービスのうち約10%がEVの充電切れへの支援だった

■EV普及にあたっては自宅で充電を済ませて出発するという基礎充電の拡充が何より重要だ

JAFがEVへの充電支援サービスカーを試験運用

 7月31日付の報道で、日本自動車連盟(JAF)が、電気切れ(電欠)で路上に停止した電気自動車(EV)への充電支援を行うサービスカーの試験運用をはじめると発表した。まずは、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府で開始し、その後、順次全国へ展開していくという。

 背景にあるのは、2020年度の実績で、ロードサービス件数約5800件のうち、573件がEVの充電切れへの支援で、全体の約10%に及んだ。これまでも、燃料電池車(FCV)を含め、電気駆動の車両へのロードサービスは行っているが、その作業は、最寄りの充電器や充電ステーションへの搬送が対応策であった。

 これに加え、今回、停車現場での充電も行えるようにしたというのである。ただし、現場の交通状況や天候などの理由から、従来どおりの搬送になる場合もあるという。

 こうしたサービスが新たにはじまると伝わると、やはり「EVやFCVは電気切れや水素切れが不安」という声が聞こえてきそうだ。ところが、JAFによれば、ガソリン車においてもロードサービスの2位に燃料切れが占めているのだという。つまり、単に社会基盤の充実の如何ではなく、運転者の注意不足などによって、ガス欠や電欠が起きているともいえる。

 ただし、ガソリンスタンドについても、すでに拠点が半減している実態もあり、あるはずだったスタンドが閉店していたということがガス欠の背景にあるかもしれない。

 EVの経路充電(移動中の急速充電)については、設置個所がまだ足りないとか、設置場所はあっても充電口数が足りないなどの声がある。ここは、EVの普及と充電設備の基盤整備の進行との、鶏が先か卵が先かという話だとよく語られる。

 しかし、イー・モビリティ・パワー(e-MP)の姉川尚史会長は、「いうまでもなく、充電基盤整備が先だ」と、述べている。とはいえ、社会基盤整備はすぐに儲けが出る事業ではない。このため、参入企業が限られ、一朝一夕に進まないのも事実だ。公正取引委員会によって、e-MPでの独占的事業が指摘されたが、上記のとおり儲かる事業とはまだみなされていないため、結果的にe-MPが広く尽力しているわけである。

 この点においても、まず自宅で充電を済ませて出発するという基礎充電の拡充が何より重要だ。マンションなど集合住宅の駐車場と、月決め駐車場への200Vコンセント設置が、問題解決の大きなカギを握る。

 このことは、EVへの充電だけでなく、停電など万一の際にEVから電力供給する選択肢を生む基盤整備であり、社会をあげて意識改革なされることが不可欠だ。急速充電器も、JAFによる電欠への支援も、その次善の策なのである。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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