日産キューブの歴代モデルを振り返る! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■箱型ボディが特徴だった日産キューブ

■1998年に登場し、2020年に販売終了

■歴代キューブとキューブキュービックを振り返る

一世を風靡しつつも2020年に販売終了

「立方体」との車名通り、ユーティリティ性能を重視した箱型ボディが特徴だった日産キューブ。初代、2代目と人気車種となったものの3代目となり失速。2020年に惜しまれつつ販売終了となりました。

 トヨタ・シエンタやホンダ・フリードといったコンパクトミニバンの販売は好調、ダイハツ・トール(トヨタ・ルーミー)、スズキ・ソリオといったトールワゴンが人気を集めるなか、販売終了したのはさまざまな理由があるとは思いますが「え? 販売終了??」と驚いたユーザーが多かったのではないでしょうか。

 今回は、いまはなき歴代キューブを振り返っていきましょう。

初代(1998年)

「コンパクトユーティリティ/デイトリッパー」──いわゆる使い勝手がよく日常的に快適に使える道具として1998年に登場した初代キューブ。その名(立方体)の通りボクシーでトールボーイなデザインが印象的でした。

 初代は2代目マーチをベースに、約200mm全高を拡大した背高キャビンを配置。パッケージを重視した新世代のコンパクトカーとして開発されています。

日産キューブ(初代)のフロントスタイリング

 ライバルはマツダ・デミオやスズキ・ワゴンRワイド。いまでいうマイクロミニバンなのですが、両車より頭上空間が圧倒的に広かったのが大きな特徴です。

 ベースとなった2代目マーチと比べてボクシーなデザインを採用したのは、男性ユーザーを中心に取り込む次世代のベーシックカーとして開発されたのが理由でした。

 ただ、マーチをベースにしていることでフロントノーズ部を切り詰めることができなかったため、高さ以外のスペースを生み出すことに苦労したよう。Aピラーの位置を可能な限り前進させるなどで対応し、マーチから30mm長くした(ホイールベースは同様)全長3750mmなコンパクトなボディながらも、スペース効率が良い室内空間を実現しています。

日産キューブ(初代)のリヤスタイリング

 ただ、スペース効率を高めることを重視した結果、弊害も……。リヤシートのヒップポイントを高めつつニースペースを広げるため後方へ移動したことで、シート両端がホイールアーチに干渉。座面幅が狭くなったことでリヤシートが2名になってしまい、デビュー時の乗車定員は4名となりました。

 ユーティリティを重視したにもかかわらず4人しか乗れないことはユーザーから不評をかい、2000年のマイナーチェンジで定員が5名へと変更されています。

 デビュー時、初代に搭載されたパワーユニットはCG13DE型1.3リッター直4エンジン。ベースとなったマーチにも用意されたこのエンジンをキューブ用にリファインし、最高出力などをアップさせて搭載しました。

日産キューブ(初代)のエンジン

 エンジンに組み合わされるトランスミッションは、CVTとともに4速ATを用意。すべてのグレードで両トランスミッションを選ぶことができましたが、CVT仕様は排気規制値を最大限に満たしたロー・エミッション・ビークルとなっていたのが違いです。

 初代は発売後、すぐに同様のコンセプトを備えたホンダ・キャパが登場したものの大ヒット。ヒットしたのは販売価格が114万8000円から(月々4500円なるCMも展開)とお手頃な値付けで販売されていたことや、角ばったフォルムがカスタム向きだったことが大きな理由といえます。

2代目(2002年)

 コンパクトカーにもかかわらず圧倒的に広い室内を実現したことでヒット商品となった初代キューブ。初めてのフルモデルチェンジで2002年に登場した2代目は、初代同様“ハコ”をテーマにしていたものの、デザインテーマは「角を丸めた四角」。従来のクルマにはないモダンなエクステリアデザインを採用したことで大きな話題となりました。

 そんなデザインの大きな特徴は左右で異なる非対称デザイン。右側のDピラーが左側と比べて極端に太くしたことでユニークなデザインとなりましたが、左側のピラーを細くすることで後方視界を良くするなど、非対称デザインは機能的な理由も備えていました。

日産キューブ(2代目)のフロントスタイリング

 また、キューブの売りとなるユーティリティ性能も大きく向上。垂直に近いサイドパネルやドア、テールゲートを用いたことで初代から全長は20mm短くなったものの、居住空間は拡大。ホイールベースが70mm長くなったことで、リヤシートのニールームは83mmも広がっています。

 リヤシートは初代にはなかった220mmのスライド機構付き。リヤシートを調整することで、ラゲッジルームも最大828mmまで伸ばすことが可能でした。スライド機構を採用したことなど初代と比べ、シートアレンジが多彩になったことも2代目の特徴といえるでしょう。

日産キューブ(2代目)のリヤシート

 パワーユニットはCR14DE型1.4リッター直4エンジンを採用。トランスミッションは4WDに組み合わされる4速ATと新開発6速マニュアルモード付きCVTが用意されていました。

 2代目のトピックスのひとつが、モーター駆動式4WD「e-4WD」を搭載したこと。エンジンで前輪を駆動しながら、路面状況などに応じて後輪モーターで駆動するこのシステムは、トランスファーやプロペラシャフトがないことでスペース効率に優れ、低コスト(FF車比で約18万円アップ)で車両に搭載可能。新世代の4WDシステムとして注目を集めました。


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