最近「E」とか「電池」みたいなマークが付いてるタイヤが増えてきた! EV専用タイヤって普通のタイヤと何が違う? (1/2ページ)

この記事をまとめると

■最近のタイヤには「E」と表記されるモデルが増えつつある

■「E」は電動車向けタイヤという意味を持っており、専用設計されている

■静粛性の高さとエコタイヤの技術を応用した転がり抵抗の少なさが武器となっている

「E」とつくタイヤは何用のタイヤ?

 最近のタイヤはサイドウォールにやたらとにぎやかなものが増えてきて、何を意味しているのかわからないものも見受けられるが、近年そこに加わった「E」の文字を象徴的に使ったマークなら、どんな意味なのかおおかた想像がつくことだろう。お察しのとおり、電動車向けであることを示している。

 BEV、PHEV、HEV、FCVなど、クルマの電動化が進むと、クルマにまつわる周辺のパーツも大なり小なりその影響を受け、求められる性能も変わってくる。タイヤはその最たるものだ。2023年秋の時点ではまだまだ多くはないが、電動車の普及を受けて、その専用のタイヤもどんどん増えてきているところだ。

 いちはやく電動車向けのタイヤに注力し、この分野で存在感を発揮しているピレリは、2019年から「Elect(エレクト)」のマークの入ったラインアップをどんどん拡充している。横浜ゴムは2023年秋から、よりひとめでわかるようにと「E+」のマークを入れはじめた。その他のメーカーも、商品名の中に「EV」や「E」の文字を入れた電動車向けのタイヤを大なり小なり用意している。

 では、電動車向けのタイヤには何が求められて、実際に既存の普通のタイヤとどう違うのだろうか? それは電動車の車両自体にどういう特徴があるかを考えると見えてくるのだが、既存の内燃エンジン車に対して、重量、出力特性、静粛性というざっくり3つの点で小さくない違いがある。その違いはおそらく多くの人がイメージするよりもかなり大きく、タイヤにも相応の性能が求められることになる。

 まず、電動車というのは同等クラスの内燃エンジン車に対して、一般的に車両重量がだいぶ重い。PHEVやHEVで1~2割増、BEVなら2~3割増という感じなので、その重さを支える構造が必要となる。もちろん乗り心地を悪化させない許容範囲内での話だが、カーブを走る際などのタイヤの変形を抑えて、ハンドリング性能を確保するだけの「耐荷重性能」が求められる。

 ついで、電動車は性能面で大きなトルクを瞬時に発生させることができるものが多く、すると瞬間的にタイヤに極めて大きな力が加わる可能性が高くなる。それがタイヤの摩耗や偏摩耗を早めてしまう。ひどいときにはひび割れが生じたり、チッピングと呼ばれる一部がもぎ取られたような状態になったりするので、できるだけそうならないよう、素材や構造を工夫することが求められる。


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