とっくに発売されていたハズだったのに不正で先送り! 新型ムーヴはどんなクルマだったのか? (2/2ページ)

販売は2024年の秋ごろか

 問題は予約受注を開始しながら停止した新型ムーヴの行方だ。新型ムーヴについて述べると、ボディサイズは、予約受注開始時点において全長が3395mm、全幅は1475mm、全高は1655mmとされた。後席側のドアはスライド式になる。この大きさはムーヴキャンバスとほぼ同じで、全長と全幅だけでなく全高とホイールベース(前輪と後輪の間隔)まで共通だ。スライドドアの開口幅も595mmだからムーヴキャンバスと等しい。

 その一方でボディスタイルは異なり、新型ムーヴはボンネットを前方に傾斜させ、フロントウインドウとフロントピラーは少し寝かせている。シートアレンジはムーヴキャンバスよりもオーソドックスで、スライドドアを装着するものの、実用的な機能は現行型ムーヴに近い。

 受注していたときの価格は、もっとも安価な標準ボディのLが129万2500円、上級のXは141万9000円、エアロパーツを装着してターボエンジンを搭載するRSは180万9500円とされていた(いずれも2WD)。ムーヴキャンバスでもっとも安価なXは146万3000円だから、新型ムーヴはスライドドアを装着しながら、価格はさらに安い。

 つまり、新型ムーヴは、従来のムーヴと同様に実用的で求めやすいハイトワゴンとして開発され、後席側のドアはいまのニーズに沿ってスライドドアを装着する。その結果、商品特性がムーヴキャンバスのベーシックモデルのようになった。

 新型ムーヴでは、ロッキーと同様のハイブリッドを追加することも予定され、その価格はノーマルエンジン車の約20万円アップだ。これらの計画が、一連の不正行為により、すべて先送りにされた。

 今後の見通しをダイハツは明かしていない。この対応にも困るが、2024年1月下旬に販売店に尋ねると以下のようなコメントをもらった。「新型ムーヴはすでに完成しており、いつでも市販できる。2024年の9月から10月頃には、おそらく発売できると思う」

 目下のところ、国土交通省は法規適合性の確認作業を進めており、一部の車種は出荷停止の指示を解除された。この作業が一応完了した後で、新型ムーヴを発売する。そうなると販売店が指摘した通り、早くても2024年の秋頃になるわけだ。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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