「286万円のダイヤ入りキー」でわかるバブルの申し子! 打倒セルシオを狙うも1代で消滅した「インフィニティQ45」という悲運の高級車 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■日産が高級サルーンとして販売していたインフィニティQ45を振り返る

■華やかな内外装でトヨタ・セルシオに対抗しようとしたが日本では1代限りで終売

■グリルレスデザインでなければもっと売れて現在もラインアップされていたかもしれない

セルシオの向こうを張って登場した日産のフラッグシップセダン

 日本がバブル絶頂期の1989年、国産車からそれまでにない高級車が立て続けに発売された。その先駆けが、1989年10月9日に発売されたトヨタ・セルシオだ。北米市場をメインに展開するトヨタの高級車ブランド、レクサスではLSと呼ばれた高級サルーンであり、その車内の静かさは、世界の高級車を驚愕させたとともに、日本でのセルシオはクラウンを超える立ち位置にあり、バブル景気もあって大ヒット。それこそ若者でさえ、長期ローンで買い求めた時代でもあった。

 そしてもう1台、1989年11月8日に発売されたのが、日産自動車が北米での高級車部門としてスタートさせたインフィニティブランドのフラッグシップサルーン、インフィニティQ45であった。

 国内ではインフィニティの七宝焼きのエンブレムが燦然と輝き、NISSANの表記は控え目に付けられていたものだ。

 そんなインフィニティQ45は、当時の高級車の常識を覆すグリルレスのフロントセクションが特徴で、しかも内装にこれまた高級車のお約束でもある木目調パネルをいっさい使わず、日本の伝統工芸である漆塗りパネルを奢る、和のコンセプトとしていた。シート地にもウールやレザーがふんだんに使われ、車載工具にまで徹底的にこだわった1台だったのだ。

 ボディサイズは全長5090×全幅1825×全高1430mm、ホイールベース2875mmと、セルシオよりやや大きい、北米市場を意識したプロポーションだ。パワーユニットはVH45DE、4.5リッターV8DOHC、280馬力+4速AT。駆動方式はFRの2WDであった。

 バブル期を象徴するのは、520万~630万円の車両本体価格だけにとどまらず、18金のキー(52万円)やダイヤ入りキー(286万円)までもが用意されていたこと。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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