防災意識を高める「災害疑似体験」の重要性! VRゴーグルまで備えたいまどきの起震車がスゴイ (1/2ページ)

この記事をまとめると

■住宅展示場などで見かける「起震車」を紹介

■大型トラックの荷台を油圧やモーターで上下左右に動かすことによって地震の再現を行う

■最近ではVRゴーグルを装着してより臨場感のある地震体験を提供している

起震車が凄いことになっている!

 今年は年始から衝撃に襲われ、日本中が地震の怖さをまざまざと実感させられました。ダメージが直撃した能登の方々のなかには、(2024年3月現在)いまだに避難生活を余儀なくさせられている方々も多くいらっしゃいます。あらためて、一刻も早く通常復帰していただけますよう、お祈りしております。

 そうして地震への懸念ムードが高まる中、日本の各地で災害波の備えを呼びかける活動やイベントがおこなわれていますが、そこで活躍しているクルマがあります。地震の揺れを再現する「起震車」です。

 みなさんも小学校や中学校の活動の一環で、学校に起震車を呼んで大きな地震の揺れとはどういうものかを体験するプログラムへ参加した記憶があることでしょう。筆者もいまだにあの揺れの感触がうっすら身体に残っているのを感じています。

 ここではその「起震車」にフォーカスを当て、最新の車両の機能はどうなっているのか? 身近に体験できるのかなどについて紹介していきたいと思います。

■最新の起震車はシミュレーター的な機能を備える

 起震車というのは、トラックをベースにして荷台部分に設置した体験用の小部屋を、油圧やモーターなどの動力によって前後左右、あるいは上下動を加えた揺れを起こし、大きな地震の揺れの激しさを体験できるようにつくられた車両です。

 自治体によってはその目的を名前にした「防災普及車」や「防災指導車」などの名称で運用されているものもあります。

 今回紹介するのは、神奈川の「飛鳥特装株式会社」が製作、販売している「地震体験車」です。搭載している独自の機能による訴求性や地震の再現性能などが評価され、全国の自治体を中心に納入実績を伸ばしているようです。

 地震体験車の代表機種は「A-EQ3AC2」という最新モデルです。ベースのトラックシャシーは3トンの低床モデルで、そのフレームの上に、飛鳥特装が得意としている架装技術によってオリジナルの骨格を組み上げ、4畳半くらいのスペースを持つ地震体験用のブース(小部屋)を設置したのがこの「地震体験車」です。

 最大の特徴は、ただ単に強弱の揺れを発生させるだけでなく、過去に起こった地震の揺れのパターンを再現できることです。地震には大別して「縦揺れ」と「横揺れ」の2種類があります。縦揺れは文字通りに垂直方向の振動が主体の地震です。「直下型」と言われる地震はこの縦揺れが多いといわれています。横揺れは水平方向の振動が主体の地震です。「海溝型」と呼ばれる、海の底の地中深くにあるプレートのたわみが解放されることで発生するパターンが多いようです。たとえば2011年の東日本大震災は日本で起こった最大規模の海溝型地震で、多くの人が長いストロークの横揺れを体験しました。

 この「地震体験車」では、過去の地震の震度と揺れの種類を分析したデータを元に、その揺れをデモンストレーションブースで再現することができるようになっています。

 デモンストレーションブースのストローク量は、前後±150mmの300mm、左右±100mmの200mm、上下±25mmの50mmとなっていて、今ある起震車のレベルとしては最高クラスとなっています。それによって再現のMAXは震度7となっているので、データがあればほとんどの地震は再現可能です。

 デモンストレーションブースには、現在の震度表示のほか、大型液晶によるインフォメーションが表示され、今どんな状態なのか、どの地震が再現されているのか、地震についての付随情報などが随時把握できるようになっています。


往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

愛車
スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
趣味
釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
猪木 寛至(アントニオ猪木)/空海/マイケルジャクソン

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