やっぱり上級ミニバンはもはや消滅したV6エンジンだろ! たとえ燃費が悪くてもHVや直4じゃ味わえない魅力を知ってくれ (2/2ページ)

直4エンジンにはない魅力が詰まっている!

 この時代のホンダV6エンジンは、実用型とはいえとにかく気持ちいいパワーの出方、回転フィールが素晴らしく、じつは筆者も2代目ホンダ・オデッセイ アブソルートV6(2002年型)を10年を超えて所有。乗り味は当時のメルセデス・ベンツにも匹敵するほどの質の高さと、ローダウンサスペンションと17インチタイヤによるスポーティカーのような操縦安定性を示してくれたものだった。長きに渡って手放さなかったのも、そうしたミニバンとしての完成度の高さからである。

 オデッセイが3代目になったとき、所有していたお気に入りの2代目から3代目への買い換えをしなかった理由も、低全高パッケージに加え、お気に入りのV6エンジンが消滅したからでもあったのだ。

 とくに1990年代から2000年代にかけては空前のミニバンブームであり、「なにはともあれ、ミニバンを買っておこう」という空気が充満し、街に、郊外に、観光地に、オデッセイやステップワゴンといったミニバンが溢れていた。そこで、ミニバンの生活臭を吹き飛ばす高性能V6エンジン搭載の上級グレードが、ボクを含め、一部のユーザー、クルマ好きにもてはやされた、ともいえる。

 しかも、いまでは高騰しているガソリン価格も、レギュラーガソリンは1999年当時、1リッター100円前後だったから、直4エンジンに対して、高性能と引き換えに燃費性能で劣るV6エンジンに乗っていても、実感としてさほど困らなかったのも本当だ。

 ただし、2008年にガソリン価格が高騰。それを見越したのか、たとえばオデッセイは2003年デビューの3代目以降、V6エンジンは消滅。直4エンジン(アブソルートはハイチューン型)のみの設定になったのだった。

 理由は燃費性能と販売比率の2点が主で、燃費重視のいまでは3代目までV6エンジンをラインアップしていたトヨタ・アルファードも、最新の4代目では直4NAエンジンとそのハイブリッドだけとなり、V6エンジンは姿を消している。

 2018年に改良されたトヨタ・アルファード&ヴェルファイアの301馬力を発揮する3.5リッターV6モデルをこのWEB CARTOPで試乗したときのリポートは以下の通りだ(V6エンジンに関する記述のみ抜粋)。

「ヴェルファイアの3.5リッターV6モデルでもっともスポーティーといえるエグゼクティブパワーシート仕様、18インチタイヤをおごるZGを走らせれば、まずは新エンジンのジェントルに発揮される大トルク、ゆとり極まるパワーが神々しい。アクセル操作に対してレスポンスは穏やかで、一瞬のタメがあってから力強く、しかし8速ATがもたらすウルトラスムースな変速による加速態勢に入るセッティングなのは、なるほどVIPが好んで選ぶグレード=エグゼクティブラウンジにも搭載されるエンジンだからだろう。アイドリング時には2.5リッター直4のHVより少々振動を多めに伝える新V6エンジンは、先を急ぐためアクセルを深々と踏み込んで高回転までまわしても、耳に届くのは豪快ではあるものの、低音が強調された耳障りとは無縁のサウンドだ。頼もしさと上質さの見事なバランスといっていいだろう」

 とはいえ、ミニバンのような重量級のクルマ、多人数乗用車にとって、トルキーで気もちよくまわるV6エンジン搭載車は(本家、アメリカのミニバンしかり)、大空間高級サルーンとして見れば、直4エンジン搭載車にない魅力を持っていることは確か。

 筆者が所有していた2002年型ホンダ・オデッセイ アブソルートV6のJ30A型3リッターV6エンジン、ホンダ謹製ユニットのミニバン搭載エンジンらしからぬ、ウルトラスムースな回転上昇感、気もちよさは、いまでも忘れられないほどである。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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