海外のディーラーマンはライバル車に乗るなんて当たり前! 自社扱い車しか乗れない日本のディーラーは80年代を引きずりっぱなし (2/2ページ)

いまだに80年代の特徴が受け継がれている

 日本では自社扱いの新車を購入するときは、「社員購入規定」のようなものがあり、充実した特別条件で購入することができるのが一般的。なお、南カリフォルニアで聞いたときは、リースを組むと「月々のリース代はそれほど価格が高くない車種ならば、ディーラーとメーカーで負担してくれるので自己負担しなくてよい」といったことが多いようだ。それでも自社扱い車に乗らないというのは、前述したとおりに仕事とプライベートをきっちりわけているということになる。

 この「日本では扱い車以外仕事では使えない」というのは、かつて訪問販売が主流だったころの名残りともいえよう。それこそ大昔はお客から下取りした自社扱い車に乗っていたセールスマンだが、バブル経済のころは扱う新車に乗るようにと変わってきたようだ。当時、展示車はそのまま販売していたので未登録が当たり前で、試乗車というものがほとんどないため、お客の自宅などへ自分たちの新車を乗っていき、試乗してもらったりしていたようである。

 令和のいまでは、店頭販売がほぼ当たり前となっており、訪問販売はほぼなくなっているので、あえて扱い車にこだわる必要もなくなっているが、いまも日本ではそれが当たり前となっている。

 南カリフォルニアだけではなく、新興国でクルマ社会の本格化がこれからともいえるインドネシアでも、他メーカー車に乗って通勤できるのを見ると、日本の新車セールスマンが仕事だけといっても自社扱い車にしか乗ることができないというのは、これもある意味「ガラパゴス日本」なのかもしれない。

 筆者はかねがね日本の新車販売現場はいまもなお、80年代を色濃く残していると実感している。多様化の進むなか、「売るのならば自社扱い車がおすすめ」というロジックで他メーカー車に乗るセールスマンというほうが説得力があるようにも見える。新車販売現場も働き手不足に悩んでいるので、こういう細かいところも含めて「フルモデルチェンジ」する時期にきているようにも見える。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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