こんなデザイン「日本じゃ作れない!」と思ったら日本人の作品だった! 奥山清行氏が描いた「KODコード61バードケージ」のデザインセンスに脱帽 (2/2ページ)

久々のワンオフモデルは自らの過去作品をオマージュ

 ピニンファリーナを退職した奥山氏は、日本やロサンゼルスをベースに個人事務所を設立し、再びカロッツェリアとしての仕事をスタートする。

 2008年には早くもファーストモデルとして、のちにワンオフモデルとなる「コード7」をジュネーブショーで発表。その後も「コード8」、「コード9」、「同スパイダー」、「コード57」、「コード0」等々のモデルを積極的に製作。ちなみにコード57はフェラーリの599が、コード0はランボルギーニのアヴェンタドールがベースとなっていたため、KODの注目度は新型車が登場するたびに高まっていった。

 今回紹介する「コード61バードケージ」は、前で触れたピニンファリーナ時代のバードケージ75thの進化型ともいえるモデルで、その基本構造体はもちろん前作同様スチールパイプを細かく組み合わせたパイプフレーム(バードケージ)。

 ボディパネルはこちらも軽量なCDRP製パネルで成型されており、そのデザインは前後が強く絞り込まれ、またフロントフェンダーのボリュームを強調するために、さまざまな造形の工夫を見せているのが特徴だ。

 いかにもイタリアの伝統的なオープンスポーツ、バルケッタが受け継いできたシルエットらしく、フロントウインドウはコンパクトな格納式に、そしてサイドウインドウも存在しない。ドアは上方に向かって跳ね上がるデザインだ。

 ホワイトのボディカラーに鮮やかなブルーのセンターストライプでペイントされたコード61バードケージのキャビンは、そのブルーのセンターストライプのパネルによって左右に分割されたツインコクピット。センタートンネルの周囲やサイドシルの内側などには、そのフレーム構造の一部を見ることもできる。

 KODからは、このコード61バードケージに関するスペックは発表されていないが、バードケージ75thでミッドシップだった基本設計は、FRトランスアクスルレイアウトに変更されていることが発表されている。

 コード61バードケージの販売は、ごく少数のみが行われる見込みだが、あるいはそれはこれまでのKODの作品のように、ワンオフモデルとなる可能性も高い。スーパースポーツとしてのパフォーマンスはもちろんのこと、自動車の世界におけるオートクチュールともいえる、究極の存在たるワンオフモデル。その価値は限りなく大きい。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
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