エアクリにマフラー交換で簡単にパワーアップ! それならなんでメーカーは最初からやらない? (1/2ページ)

この記事をまとめると

■吸排気チューンはチューニングの入口として手軽に導入できる

■吸気と排気の効率を上げることでエンジン出力や排気音が魅力的になる

■吸排気チューンで吸気と排気の効率がよくなると低速域では扱いにくくなることがある

チューニングが下火になっても吸排気チューンは人気

 昨今は市販状態で十分なパフォーマンス性能をもったクルマが増えてきたことや、そもそも派手な音を発しながらガソリン臭さを振りまくような自分勝手な振る舞いが敬遠されるようになり、チューニングという行為が流行らなくなってきていると実感します。

 そうして数は減ってしまった現状でも、クルマの用途を走り重視に置いている、あるいはカスタムすることが好きな人たちは一定数いますし、カスタムの市場にはまだまだチューニングのパーツが溢れています。

 そんななかでまずチューニングの取っかかりとして手軽に導入できるのが、エアクリーナーやマフラーを交換する、いわゆる「吸排気チューン」でしょう。これをすることで、まず吸気排気の音が際立つので、走っているとき、そしてアクセルを煽ったときの気分がアガります。

 もうひとつは出力が少し向上します。製造メーカーの謳い文句によれば、吸気または排気の効率が上がることで多くの空気を採り込むことができるため、出力が上げられるとなっています。

 そこである疑問が浮かばないでしょうか。そんなパーツ交換程度で出力が上げられるなら、なぜ最初からそのパワーで出荷しないのか? と。

 ここではその吸排気チューンの効果について少し掘り下げてみましょう。

■エンジンの仕組みと吸排気の効率について

 自動車の主流となっているエンジンは、「レシプロ方式」の「4ストローク・タイプ」というものです。

「レシプロ(方式)エンジン」というのは、ピストンの往復運動をクランクシャフトで円運動に換えて車輪へと出力する方式のエンジンです。

「4ストローク・タイプ」というのは、吸気>圧縮>燃焼>排気という4つの行程で燃焼のプロセスをおこなうタイプのエンジンです.

 おおざっぱにいうと、空気に霧状の燃料を混ぜて燃焼室に吸い込み、出入り口を塞いだ状態でそれを燃焼させ、その圧力でピストンを押し下げさせることで回転力に変換しています。

 単純に吸い込む空気と燃料が多くなれば燃焼の威力が増すので、車輪をまわす力を向上させることができるのです。

 エンジンのひとつの工程に対してどれだけ多くの空気と燃料を吸い込むことができるかを表すのが先に述べた「吸排気の効率」というわけです。

■エアクリーナーとマフラーの交換でパワーが上がる理由

 まずエアクリーナーを交換するとどんな変化が起こるでしょう?

 エアクリーナーとはその名のとおり、吸入する空気からゴミやホコリを取り除くフィルターです。ゴミやホコリという異物を吸って燃焼させると、そこだけ燃焼に不完全な部分ができてカーボンなどの堆積物となり、燃焼を妨げるばかりか、エンジンの寿命を縮めてしまう原因になります。

 そのため純正の設計では目の細かいエレメント(フィルターのコア部分)を使用して、極力異物の混入を防いでいるわけですが、その反面、吸入の抵抗になってしまうので、基本的には除去性能が上がるほど吸い込む効率はよくありません。

 そのエレメントをもっと目の粗いものにして、吸い込む効率を上げてやろうというのが「吸気チューニング」と言われているものです。

 一方のマフラーの場合はどうでしょう?

 純正のマフラーは、周囲の環境への負荷を減らすために、できるだけ排気音を抑える構造になっています。純正マフラーの多くはサイレンサーと呼ばれるタイコ部分に幾つもの仕切りを設けてあり、その仕切りを排気が抜けるときにエネルギーを奪うことで音量を低くしています。

 エネルギーが奪われるということは、音のエネルギーとともに運動のエネルギーも減少しているということで、排気の勢い=パワーが奪われていることになります。

 つまりは抵抗になっているので、排気の効率から見たら低下させられているということになるのです。

 その抵抗をできるだけ取り除いて効率を上げつつ、排気の音量を常識的な範囲に留める設計で作られているのが社外品のマフラーで、そういう効率のいいマフラーに交換することを「排気チューン」というわけです。


往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

愛車
スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
趣味
釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
猪木 寛至(アントニオ猪木)/空海/マイケルジャクソン

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