新車販売が復調しているのはクルマの「値上げ」が理由!? 思い立ったら「少しでも早く買う」が正解ないまの新車市場 (2/2ページ)

コロナ前の水準まで完全に復調する日は近い

 例年、事業年度末決算セールの実績確保のため、可能な限り3月に台数の上乗せを積極的に行うことで、4月の販売台数がその反動で落ち込むというのが一般的だ。ただし、コロナ禍となったここ数年では、需給体制が悪化していたこともあり、3月実績をめざしていたが新規登録が間に合わず、実績が4月にこぼれるケースも目立ち、4月の販売台数落ち込みがそれほど目立たないことも散見された。

 2025年4月の販売台数が同3月実績に比べて落ち込みが激しければ、新車販売の世界もコロナ禍前、つまり本格的に正常な環境に戻りつつあることを示しているともいえるので、4月の実績がいまから楽しみだ。

 世のなかでは、引き続き物価高騰に歯止めがきかない状況が続いている。新車の車両価格も例外ではない。繰り返し述べていることであるが、たとえば、夏商戦を待ってお得にクルマを買おうと思っていても、その間に販売価格が値上がりするといったことも想定しなければならない。

 現状では、まだまだお買い得な時期を選んで消費者が動くといった傾向は統計数字から見ることができるのだが、原材料などの高騰が続くなかでは、値上げを考慮すれば、「思い立ったが吉日」という買い方が主流になり、1年を通じて販売台数の平準化がより進んでいくのではないかとも考えられる。

 さて、3月単月締め統計が発表されれば、2024事業年度締め(2024年4月から2025年3月)での新車販売台数もまとまることになる。2024年度の事業年度締め年間新車販売台数は、商用車も含む登録車と軽自動車を合算して457万5476台となった。

 コロナ禍前最後となる2019年度の事業年度締め年間新車販売台数と比べると、その台数は約90%なので、コロナ禍前のレベルまで完全には戻っていない。だが、確実に復調傾向にあるともいえる。物価高騰などもあり、庶民生活の圧迫が続くという販売環境の悪化が目立っていることは否定できない。

 事業年度締め年間販売台数を見ると、世界的な生産遅延のなか、新車への乗り換えを控えていたユーザーたちが、「これ以上値上げが行われないうちに」と動き出したことも、復調傾向を後押ししているのではないかとも考えられる。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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