この記事をまとめると
■一方通行は対面通行の危険を減らし交通の円滑化を図るために導入される
■道幅や周囲の交通環境に応じて一方通行規制の要否や基準が細かく定められている
■道路の構造変化によって規制が変わることもあるため標識の確認が重要だ
一方通行には目的と基準がある
道路には、道幅が狭いのに対面通行の場所もあれば、道幅が広いのに一方通行の場所もあります。一方通行のほうが道幅が広く走りやすい環境になっている場合、その背景にはどのような理由があるのでしょうか。今回は、一方通行となる道路がどのように決められているのかを解説します。
一方通行に規制する目的とは?
一方通行は、車両の通行をひとつの方向に規制している道路のことです。道路の規制をしているということは、規制する目的や理由、規制の対象となる要件があるということになります。
一方通行規制画像はこちら
警察庁が公表している「交通規則の基準」によると、一方通行は、「車両の相互通行に伴う複雑、危険な交通状態を単純化して交通容量を増大させ、交通の安全と円滑を図る」ことが目的とのことです。つまり、道路における危険場面を減らして交通をスムースにすることを目的とした規制が一方通行ということになります。
一方通行の対象となる道路
一方通行の対象となる道路は、原則として次のいずれかに該当する道路です。
1.交差点における交通流の整序化、単純化、安定化を図る必要性が特に高い都市部の幹線道路等
2.車両の相互通行に十分な車道幅員がなく、安全と円滑を確保するため必要がある道路
3.変則または多岐の交差点と接続し信号処理上交通流を単純化する必要がある道路
4.一定方向への交通量が著しく多く、交通の円滑を図るため必要がある道路
5.通過交通を排除する必要がある生活道路
6.相互通行が困難な踏切およびその前後の道路
7.側道、副道、ロータリー等道路構造が特殊で、相互通行が困難または円滑な交通流の確保が必要な道路
8.高速自動車国道等の流出入路
(警察庁「交通規則の基準」より)
一方通行の対象となるのは、道路形状を単純化したり対面通行するだけの道幅がなかったりするなど、交通を安全かつスムースにする必要がある道路ということになります。
一方通行の道幅によって異なる基準
一方通行は、道幅の広さによって規制の基準が異なります。道幅の広さ(幅員)別の基準は次のとおりです。
・道路幅員5.5m以上:交通容量に見合う平行したう回路を直近に確保すること。車道の両側に歩道または路側帯を設置すること
・道路幅員5m以上5.5m未満:車道部分3.5m以上確保し両側に歩道または路側帯を設置すること。一方通行規制を行うことができない場合は、大型自動車等の通行を禁止するなど、車両の相互通行に支障がないように措置をとること
・道路幅員4m以上5m未満:大型自動車等の通行を禁止して実施する場合は、車道部分を3m以上確保し、歩道または路側帯を設置すること。大型自動車等の通行を禁止できない場合は、車道部分を3.25m以上確保し、歩道または路側帯を設置すること
・道路幅員4m未満:原則として大型自動車等の通行を禁止して実施すること
(警察庁「交通規則の基準」より)
道路を安全で円滑にするための一方通行
一方通行となる道路は、対面通行できない道幅であったり、交通の円滑化が必要であったりするなど、さまざまな理由で決められています。そのため、道路の環境が変わったことで、その道路の規制が変わる可能性もあるということです。
幅広の一方通行道路画像はこちら
近くで道路工事をしていたり、新しい建物ができて道路形状が変わったりしたときは、道路の規制が変わっているかもしれませんので、通行するときは標識・標示をしっかり確認して通行しましょう。