クルマ好きたるもの心を奪われて当然! 元ケータハムのメンバーが作った「ゼノス E10」はマジもんのライトウエイトスポーツだった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■イギリス製のオープン2シータースポーツは出ては消えてを繰り返している

■「ゼノス E10ロードスター」はケータハムの元社員たちが作ったクルマだ

■フォード製エンジンを搭載しコストパフォーマンスに優れていた

コスパ抜群のイギリス製ライトウエイトスポーツ

 イギリス製オープン2シータースポーツ、というと「またか」と眉をしかめる方もいることでしょう。それだけイギリスは2シータースポーツを数多く生み出しており、いくつものモデルが泡のように消え去っていますからね。

 ですが、そんな辛口のクルマ好きからも熱い視線を送られているのが、今回ご紹介する「ゼノス E10ロードスター」にほかなりません。元ケータハムの社長やスタッフが独立して作り上げたという背景を聞けば、スポーツカー好きなら食指も動くというもの。なんだかんだいっても、イギリス製スポーツカーはクルマ好きにとっては永遠なのかもしれません。

 ゼノスは2012年、イギリスのノーフォークで興された小規模クルマメーカー。この年でピンとくる方は、ちょっとしたケータハムマニアかもしれません。というのも、ケータハムはこの年にトニー・フェルナンデスに買収されており、社長だったアンサー・アリをはじめ、何人ものエンジニアやスタッフが退職をしているのです。

 で、アリ氏はF1よりもロードカーにこだわっていたようで、「ならば独立してケータハムよりいいクルマ作っちゃおう」と決心したわけです。ここに、アリ氏の右腕だったマーク・エドワーズや、チーフエンジニアだったクリス・ウェストンといったメンバーが合流。これだけでも、スポーツカー好きならワクワクしちゃうことでしょうが、ゼノスの魅力はまだまだあるのです。

 たとえば、彼らはスポーツカー作りの初手として「まずは価格ありき」だったこと。多くのガレージメーカーが贅の限りを尽くさんばかりにこだわったライトウエイトスポーツカーが「庶民の手が届かない」価格になりがち。ところが、ゼノスは2万4995ポンド(当時のレートで約435万円)という戦略的な価格を設定。よくよく考えればじつに合理的なんですが、多くの自動車メーカーはなかなかこういう方法をとりませんよね。

 さらに、開発段階から顧客をテストプログラムに参加させたことも大きなトピック。普通、開発中は絶対機密でもって、部外者の立ち入りなどは禁止されるもの。ですが、ゼノスは予約した客なのか、ケータハムの頃から付き合いのあった客なのか、積極的にテストプログラムに招いたのだそうです。ユーザー目線の意見が聞けるのはもちろん、自分の意見がいくらかでも反映されたクルマなんて絶対ほしくなるもの。意見と売上げ、一挙両得なゼノスの姿勢はこれからの自動車メーカーも見習うべきではないでしょうか。


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石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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