【試乗】熟成の極み! メルセデス・ベンツGLCの新グレードCOREは真の「ベーシック・ベンツ」だった (2/2ページ)

「CORE」は真の意味での「ベーシック・ベンツ」

 サスペンションは硬すぎず、柔らかすぎず、AMGライン特有の絶妙なバランスだ。路面からの細かな入力を適度にフィルタリングしつつ、ボディの姿勢はつねにフラットに保つ。とくにワインディング路では、ロールが微小で自然な操舵フィールを提供してくれ、4MATIC(四輪駆動)システムとの連携でスタビリティが高く、安心感のあるコーナリングを実現する。

 日常域ではオーバースペックになりがちなパフォーマンスを、実用速度域で最適化してきたメルセデスの手腕には改めて感心させられる。

 4MATIC(四輪駆動システム)の制御も高次元で、全天候適合性の高さはSUVとしての価値を高めているのだ。

 使い勝手に関しても、GLC 220 d COREは優秀である。リヤシートの居住性は全長4725mmのボディサイズに対して十分な広さが確保されており、荷室容量も620リットル(最大1680リットル)と実用的。リヤシートの分割可倒もレバーひとつでスムースに行え、SUVに求められる多用途性をしっかり備えている。

 さて、気になる価格について触れておこう。GLC 220 d COREのベース車両価格は税込み819万円。これにAMGラインパッケージ(約75万9000円)を装着すると、乗り出し価格は試乗車のパノラミックスライディングルーフ装着で918万円となる。

 確かに、エントリーグレードとはいえこの価格帯は決して安くはない。しかし、メルセデス・ベンツらしい基本性能、安全装備、そして質感をすべて満たし、かつAMGラインによるスポーティな個性を手に入れることを考えれば、十分納得できる範囲といえる。

 とくに人気の高いGLCはリセール価値も高く「CORE+AMGライン仕様」は非常に合理的な選択肢だ。

 総じて、GLC 220 d CORE(AMGライン装着車)は、メルセデスが目指す「質実剛健」の思想を現代的にアレンジしたSUVだと感じた。走り、快適性、使い勝手、そしてデザイン性まで、全方位で高い完成度を備えており、単なる価格訴求型モデルではない、真の意味での「ベーシック・ベンツ」に仕上げられているのだ。


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中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
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